3
久しぶりに夢を見た。
知らない少女がでてきて、
その少女がこちらに何かを話しているけれど、
何も聞こえなくて、
目が覚める。
「やっと起きたか。何度起こそうと全然起きないからもしかしたらこのまま死ぬのではないかと思った。まあ死んでも特に問題はないんだが」
俺が寝ている隣で包丁を研いでいるヒアラ。
「……ここは?」
「村長の家だ。自分の足で来ただろ。お前は昨日の昼前あたりから一日以上寝ていたんだ」
外は薄暗い。
「カナタ、もう疲れはとれたか? 一日以上寝ていたんだ。むしろ寝疲れたんじゃないか?」
「大分楽になった気がする。でもまだ体は重い気がする。……汗臭いな」
「そうか。とりあえず風呂にでも入ってきたらどうだ? 飯の用意をしておいてやる」
「そうさせてもらう。風呂はどこ?」
「奥だ。すぐにわかる」
カナタはヒアラの指差した方へふらふらと歩き出す。
「さて、料理か。初めてだが……まぁ大丈夫だろう。ついでに村長の分も作っておいてやるか。材料は色々確保してあるな。客人が多いからな。さすが村長だ。さて、何を作ってやろうか……」
……
「しまった! まだあいつが入っていた!」
「あら、起きたのね?」
……え? 露天混浴?
この人あの人だ。森出た時いた人。
……安産型か。
「えっと確かカナタ、でしたね」
「まー、カナタですね。あなたは?」
「リーシャンと申します。『リー』でも『リーシャ』でも『リーシャン』でも好きにお呼びください」
「じゃあリーで」
「はい。畏まりました」
もう少し恥じらいってもんを身に付けた方が……
全く隠す気とかないし。
「お背中お流ししましょう」
「え? いや、ダイジョブデス」
「いえいえ、やらせてください、是非、遠慮なさらず、私にお任せください」
リーシャンは目を輝かせながら手を取ってきた。
丁寧な口調でなんて積極的なんだこの人……
「そこの二人! 裸同士で手なんか握ってんじゃない! リーシャンはもう上がれ! 何時間入っているつもりだ!」
「そんなこと言わずヒアラも一緒にお風呂に入りましょう?」
「一緒になど入るか! 早く出ろ!」
「あらあら、仕方ないわね。それではお先に失礼します」
リーシャンはカナタに一礼し堂々と風呂を後にした。なんか色々すごい人だ。
カナタは汗だくの体を洗い湯に浸かる。
「ほう、これはなかなか」
柵と仕切りで夜風景は拝めないが、その上に燦然と輝く無数の光を見上げてなぜか溜息ひとつ。




