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「村長」
「おぉ、ヒアラ。おつとめご苦労さん」
村長っつうから結構なジジイかと思ってたけど見た目全然若いな。
「この男が森に……」
「なにっ!? 森にいたのか!?」
「あぁ」
「森の入り口は一つで警備兵も置いているのにか!?」
「あぁ」
「迷いの森と呼ばれているうえに色々と結界を施しているのにか!?」
「あぁ」
……結界?
「そいつ何者だ!? 本当に人間か!?」
「カナタお前人間じゃないのか!? どの種族だ!?」
ヒアラはまたも身構えた。
「いや、多分人間だと思うが」
人間の他に人間に似た種族がいるのか?
まぁ、黒人白人とかそんな感じのだろうけど。
「本当に人間か確かめさせろ」
「……どうぞ。手荒なことはやめてくれよ」
ヒアラは近づく。そして手を握る。
なぜ握手?
五、六秒
「村長、大丈夫だ。こいつは人間っぽいぞ」
なんだったんだ?
「人間っぽいか。ならばひとまず安心しておこう。だがなぜ森に、どうやって、何をしていたのかはまた別だ」
「村長。こいつは、目が覚めたら服すらない状態であの森にいた、と」
「ヒアラ、お前はその男のその言葉を信じるのか?」
「信じているわけではない。 だが、他の可能性も低いからな。突如として現れたと言うならその可能性もあり得るかもしれないと思っただけだ。それにこいつは丸腰だ。油断しなければいつでもヤれる」
「なるほど。お前の言う通りだな」
やっとこさ話がついたみたいだな。
「だがヒアラ、やはり万が一を考えお前にはこの男の監視役兼世話係を申し付ける」
「分かった」
「カナタ、お前はこれからどうする? ん? 疲れているのか?」
「あぁ、何だかやけに体が重い気がする。普段よりちょっとしたことで余計に疲れてる感じだ」
「何だかよくわからないが休むか? 寝床を用意してやるか?」
「あぁ、頼む。そうしてくれ」