7話 生還?
「ここはどこだ?」
目覚めたとき私は草原ではなくベッドの上にいた。
そう。ベッドの上にだ。頭の上に広がっているのは青い空じゃなく、木製の天井だ。どうやら部屋の中にあるようだ。と言っても、見慣れた私の部屋ではないが。
誰が私をここまで運んできたのか?ミウか?
いや、ミウなら確かその場で蘇らせてから終わりのはずだ。ゲームだったコロにもそうだったし、ゴーレムとの戦いの時にもそうだった。まあ、意識が戻るまでは一緒にいてくれるが。
とにかく、今は状況把握が先だ。一応、体を起こして・・・
「痛っ!」
体を起こそうとしたら、右腹から激痛が走る。右腹を確認するとそこには包帯が巻かれていた。
はい、ミウと関係ないことは確定。復活する時状態以上を含めて全快復するからな。つまり、怪我が残っていると言うことはミウと関係ないということ。まだ、あのときから死んでないようだ。
なら、本当に誰だろう。こうして、治療してくれたのを見ると可能性は低いが私に害言いをもっている誰かかも知らない。人攫いの奴隷商とか。ゲームだった頃には奴隷NPCも存在していたから、あながち間違った推測ではないだろう。
「備えあって、損はないだろう。」
べkつどの横においてあった『エルダアイスワンド』を取ろうとしたその時、私は何かに気づいた。先、包帯が巻かれていることを確認したときは色々と混乱していたから、気づかなかったのだが、
「何で裸?」
そう。私は今裸なのだ。子供特有のぷよぷよとした白い肌が見える。胸とか全然ないし、完全に子供の体だから精神は男である私が見ても何も感じない体だが、こんな体に発情する人が世の中、少なくとも元の世界には存在することくらいは田舎物の私だって分かっている。まさかとは思うが、無いわよね?
いや、分りますよ?
酷い傷は確かに右腹だけだったかも知らないが、血面に転んだときに体のところ所に怪我と負っているはずだし?その治療のためにぬがすとなるとありうる話だろう?うん。私ながら説得力ある仮説だ。・・・・あれ?なら、何で治療が終わった今も裸なの?
いやいや、恩人にそんな失礼なこと考えちゃだめだろう。誰か知らないけど、きっとロリコンとかじゃないはずだ。・・・無いはずよ?・・・・無かったら良いな・・・・
「・・・・アイスボルト」
一応、ワンドの先から氷柱を作って、いつでも飛ばすように待機。これで、恩人さんがいつ戻ってきても対処できる、はず。
信じてますよ、誰か知らない恩人さん。こ、これはただの保険ですからね?そう、ただの保険。
で、保険を準備してから、周囲を見回す。部屋の大きさは7畳くらい。ベッドの他にはテーブルと椅子、そして小さな本棚がある。ただし、その全てが木製。まあ、当たり前か。何しろ、ゲームの背景は中世ヨーロッパ風のファンタジだったし。中世で家具が木で出来ていないところは貴族の家くらいしかないだろう。
で、肝心な窓は・・・ある!
ベッドから上がり窓に近づく。もし、恩人さんが来ても良いように布団を体に巻いてからだ。
窓から外を見るとここは村の建物の一つであるようだ。何軒か家が建ち並んでおり、子供達が家の近くで遊びまわっている。木陰には老人が集まり何かの話をしており、村の先に見える草原では羊が草を食べているのどかな田舎風景だ。まあ、ヨーロッパの、だけど。
若い人たちが見えないのは畑仕事とかに出向いてからだろう。この部屋が大低二回で、随分遠く見えるにもかかわらず見えないと言うことはこの方向ではなく、別の方向にあるんだろう。
到底、恩人さんが住んでいる村だとは思えない場所だ。いや、油断してはならない。善良に見えた隣人さんが実は殺人鬼でしたと言う話は日本にも良くあった話だったんだろう?決して、油断してはならない。
こんこんこん
ドアのほうから、ノックの音が聞こえる。
どうやら、来るべき者が来たようだ。