4話 戦闘
肉。
この『ニク』と言う音の響きが意味するものはどれだけ至高な物なのか。
時には、とろりと舌に溶け込むような味のものになったり、
時には、歯ごたえがありあっさりとした物にもなる。
安物の肉にも自慢の味を持っており、
この世に不味い肉など存在しない。
もし、不味い肉を食べてみたと言うと、
それは、決して肉が不味いわけではなく、肉に合わない調理をしたためであり、肉に罪は無い。
ああ。そうなんだ。
神は肉を食べるためにこの世を作り上げたんだ。
そう。きっとそうだ。
そんな神の食べ物である肉を食べる人間はどれほど罪深い生物なのか。
それでも、私は肉を食べる。
例えそれが罪であれば、私は罪を背負って生きていこう。
そう。私は、肉を食べるために生きるんだ。
・・・・・はぁっ?!
なんかすごい誓いをしていた気がするが・・・・・まあ、いいや。
何故かは分らないけど、この干し肉うますぎる。ただの干し肉であると思ったんだがそうではないようだ。
ちらり
私はグロすぎて食べることをあきらめた狼を見る。
確か、この干し肉狼のドロップアイテムだったはずだ。つまり、この肉は狼の肉である可能性が非常に高い。
コクッ
きっと美味しいだろう。干し肉だけでこんな味だ。焼いたりしたら、一体どれだけ美味しいだろう。あ、スープにすることもありえるわ。これで作ったスープなら、呼吸レストランのスープより美味く作れる気がする。
あ、何だか先までグロすぎてゲロッちまいそうな狼が愛しく感じられ始めた。
そう思いながら狼に向かって行こうとする私の目の前、つまり狼の後ろから何かが出てきた。
「グルルルル・・・」
新しい狼。それも20匹近くだ。つい先群れで着たら危ないと思ったんだけど、私どれだけ運悪いのよ。いや。違うか。あいつらは狼の後ろから出てきた。血の匂い釣られてきたのだろう。
で、何冷静に考えているんだ私!?死んでも復活できるんだがそれでも死にたくは無い!痛いし!なら、生き残るために戦う!先手必勝!
「アイスボルト!」
一発目から全力で魔法を発動する。作られた氷柱は全部5個。私が一度に作られる限界の数であった。その5発の氷柱を各々別々の狼に飛ばす!
「「けっん!?」」
3匹の狼に命中しその命を断ち切った氷柱だが、2匹は氷柱を避け他の15匹とともに私に近づいてくる。
「ちっ、避けるなよ!ライトニングボルト!」
電撃をワンドの先から作り上げ飛ばし7匹の狼を感電させることに成功する。だが、ライトニングボルトはアイスボルトよりランクが低いため、倒すには至らず麻痺する事しかできない。それに、また麻痺されて無い10匹の中から一匹が私に噛付こうとする。
「チェスト!」
「キッン!?」
着ていたぼろぼろになったローブをマントのように脱ぎそのまま狼に投げつける。その後、慌てる狼の顎の下からアぱを入れる。
例え、魔法職で10歳の女の子の力だとしてもプレーヤーキャラの力だ。少なくとも私の元の体と同じくらいの力は出せる!
アパを食らった狼は倒すには至らなかったが、脳震盪を起こしたのだろう。ふらふらしながら後ろ図サリをする。
「きゃっ!?くそがぁ!」
女の子のような悲鳴を上げたのはやはりこんな体になったからだろうか。いや、それより重要なのはいつの間にか近づいてきたイl匹が私の左肩を噛付いたことだ。
痛い!?いや、痛いと言うより熱い!?酷い怪我をしたとき痛みより熱さを感じると言うことは本当だったようだ。あまり、知りたくない事実であるが。そんなことを考えている間に他の8匹も私に襲い掛かろうとしているのが見えた。
「なめるな!アイスボルト!」
噛付いている狼を含め5匹にそれぞれ1発ずつ氷柱を飛ばす。さすがに、こんなに近くでは回避する術は無いようで5匹全部氷柱に貫かれる。そして、後ろに吹っ飛ぶときあまっている3匹も道連れとして後ろに飛ばされた。
そろそろ、ライトニングボルトによる麻痺が切れる。そうなる前に終わらせないと本当に死ぬ!
「アイスボルト!」
私は今動けられる4匹、後ろに飛ばされた3匹と脳震盪を1匹を含め5匹に氷柱を飛ばす!
「「「「「キッン?!」」」」」
動けられる4匹の胴体を氷柱が貫きその内蔵をかき混ぜる。4匹は後ろにぶっ飛び血面に叩きつけられもう動けなくなっていた。そして麻痺されていた1匹の頭に氷柱が命中しその脳みそを周囲に撒き散らす。
くそぉ・・・遅かったか。
麻痺されていた6匹が動き出せるようになってしまった。やはり、全部倒しきるのは無理だった様だ。私は、残った6匹に『エルダアイスワンド』を向ける。
「かかって来い、犬コロ!」
左肩から血を流しながら強がって挑発する。自殺にも見えるが確実に命中させるためには、近い距離で魔法を打ち込む必要がある。その意図を悟ったのか、
「アウゥゥゥゥゥゥゥ~~」
一匹か泣くや否や保管の5匹が逃げ出し、ないていた一匹も最後に後を追って逃げ出した。
これが私の初めての戦闘であった。