1話 ゲームの中
「シ・・・ロッ・・・さん」
ん?なんだ?知らない声だが・・・
何か綺麗な声が聞こえた気がする。ま、家の中に私一人しかなかったから誰かいる訳が無いんだがな。それとも村の誰かか?まあ、五日間家から出てこないから心配して誰か見に来たのもありえるか。
「シル・・・ッ・・・さん」
あ、私の名前じゃないんだ。じゃ、もう少し寝よう。
朦朧とした意識を手放しまた眠りに浸ろうとした瞬間、
「シルロッツさん」
「っ!」
何か体の中に入り込むような気がして、その何かに強制的に取り離そうとした意識を戻され目を開けた。開いた目の前には金髪巨乳の黒い服のお姉さんが心配そうに私の顔を見ていた。その心配そうな表情も私が目をあけるのを見てパァッと笑顔になり安堵した表情で口を開いた。
「良かった。心配しましたよ?ここ一ヶ月の間ほぼ毎日新で私をよびましたから。今回は遅れてしまったのかなと思いましたよ。」
「死んだ?私が?毎日も?」
何を言っているのか分らなかった。
死んだ?私が?一ヶ月の間、毎日も?いや、ありえない。私に死んだ覚えはないし、そもそもここ五日間はずっと部屋にこもっていたんだ。それを考えると目の前にいる綺麗なお姉ちゃんが言っていることはありえない。
「はい。特にこの三週間はあのゴーレムと戦っていましたからね。」
「ゴ・・レム?」
彼女の視線の先を見るとそこには巨大ないわが転がっていた。ふと気づいて周囲を見回すとそこにあるのは見慣れた私の部屋ではなく、暗い洞窟のような広い空間の中。大きさは学校の運動場と同じくらい。どんな原理化は知らないが天井が薄く光っていて何かを見るには十分な明るさを持っていた。そんな空間で私と綺麗なお姉さん、そして巨大な岩が転がっていた。
「何処なんだここ。いや、そもそも君は誰なんだ?・・・っ!?」
「はい?ミウですよ?最近ほぼ毎日あったんじゃないんですか。忘れてしまう何て私も傷つきますよ?あ、ここはヘルムダンジョンのボス部屋です。」
私は私ののどから出てくる子供の声だとしか思えない声に驚いた。で、何だこの声?!私が子供の頃にもこんな声は出なかったはずなんだが・・・そして、彼女の答えを聞きようやく状況が理解し始めた。
ゴーレム、ヘルムダンジョン、ここ最近の死、そして彼女の名前であるミウ。この単語から浮かんだ正解は、
「『GOD』か・・・。」
「はい?じおうでぃ?なんですかそれ?」
そう。わたしがつい先までやっていたゲームGOD。どうやら私はその夢、もしくはゲームの中に入ってしまったようだ。
「あの、ミウ・・・・さん?」
「ミウで良いですよ」
私の掛け声に微笑みながらミウが答えてくれた。いや、本当に惚れてしまいそうな美人だなミウは。ゲームの中では良く分らなかったけど本当のびじんだな。で、いかんいかん。今はそれど頃じゃない。
「じゃ、ミウ。私の頬を殴ってくれるか?」
「はい?頬を・・・殴るんですか?」
「んん。お願い。まだ、頭がぼっとしててね。気を取り直すために一発殴ってほしい。」
「わかりました・・・じゃ。こっちに顔を向いてください」
私は彼女に顔を突き出し彼女が手を振るのを待っていた。彼女は一瞬戸惑いながらその綺麗で白い手をあげ・・・・
パアンッ!!
私の頬を殴った。と言うか、ちょう痛いんですけど?!ミウさんそう見えないんだが力持ち?!
「大丈夫ですか?」
「ああ。平気平気。ありがとう、おかげで気を取り直せた。」
そしてこれが夢ではない事も証明された。この痛みが夢である訳が無いんだからね。
「良かった・・・では私はこれで。まだ仕事がありますので。また何かあったら呼んでくださいね』
「ああ。分った。その時は遠慮なく呼ばせてもらうよ」
「・・・・あまり呼ばれないのがいい気がしますが。」
ミウは苦笑を浮かべながら光の粒となって消えていった。まあ、確かに私が彼女を呼ぶって事はしんだという事だし。確かに良くない事だな。あ、一応予想はしているが確認してみるか。
そう思った私は、今まで座り込んだ状態から立ち上がた。やはり、視線の先が随分低くなっている。そのままだと予想通りだが・・・・
私は手をズボンの中いや、スカートの中に手を入れそこにあるべき物を探したのだが・・・
「ない・・・か・・・・」
こうして田中政支と言う男の人生が終わりシルロッツと言う女の子としての人生が始まるのであった。