24話 授業
その後は、当然ながら授業が行われた。と言っても中世くらいで子供に教えるようなものだ。読み書きとか(日本語。まあ、日本のゲームだったし当たり前か。)、算数くらいが全部。少し前までは受験生だったし、その後も難関大に合格するほど勉強に励んでいた私が、この習う必要があるはずもなく、ぼおっとして時間が過ぎ去るのを待つだけであった。
「そこ。ぼおっとしないでちゃんと授業聞きなさい!」
と、レティアさんに怒られちゃった。そういわれても、全部知ってるし今更必要ない内容だし…。魔法を習うために来てるだけだし、こんな事してるくらいなら、家で洗濯したいんだが…。
「なに、そのやる気ない表情。じゃあ、前に出てこの問題解いて見なさい。」
「はい。」
と言いながら、黒板に問題を書くレティアさん。って、問題がいきなり小学生レベルから中学生レベルになってるんですけど。別いいが。あっさり、二次方程式を解き、また席へ戻る。って、皆なんか驚いた顔でこっち見てるんだが…。
「シルロッツ、これどうやって解いたの?」
「え?どうやってって…普通に方程式展開してですが…それとも展開式も書く必要あるんですか?」
めんどくせぇー
「いや、その必要はないけど…これ、大きい都会の学者向けの学校で教えるものだよ?」
あ、そうか。この年の子たちがこれくらいの水準の問題を解いているとしたら、二次方程式などは、学者向けなのか。中世の文明水準だしなー。って、ならそんな問題解かせるなよ!
「先生、また意地悪しようとしたけど、むしろ返り討ちに会ったね。」
「そうそう。いつも授業中にぼおっとしていると習ったことないやつ出してくるし、問題解けなかったからと言って、叱るからね~」
周りから他の子供がこそこそ話してるのを聞いて納得する。なんだそういう事だったのか。わざと無理難題を押し付けて子供を叱る、か。まあ、授業中に集中してないのは悪いことだしな。
「この問題解けるくらいだったら学校来なくても別によさそうな気がするけど…。」
と、自信満々に問題解かせたレティアんさんはむしろ意気消沈になっている。
「いやいや、私、魔法に関して学ぶために学校来てるので。」
「そうか…でも、魔法の授業は週に一回しかないよ?これくらいできたら、むしろこの授業は退屈だろうし…。」
な、なに?!週に一回?!それだと非常に困るんだが…。それまでこんな退屈な授業を毎日聞いてるくらいなら、家に帰って洗濯したいんだが…。
「仕方ないね…。これじゃ、他の子と水準が違い過ぎるし…。君は明日から、昼の三の鐘が鳴いてから学校に来なさい。特別授業を行います。今日はこのまま帰っていいよ。」
そう言われちゃったけど、どうすればいいだろうか。ここまで来て、ただ戻っちゃうってはただ無駄足しちゃっただけになっちゃうし。そりゃあ、洗濯はしたいんだけど、このまま戻っちゃうとノーラさんに説明するのも少しややこしくなりそうだ。
「ちょっと待てよ、レティア姉!いきなり来て、授業邪魔されてそのまま頭いいから授業も聞かずに帰るって、とんだ迷惑かよ!」
そういいだしたのは、私の隣の席に座っていたあの男の子だった。彼は、言い終えるとこちらを睨みつける。
「そもそもどこの馬の骨か知らない奴がいきなり村の学校に来た事もあり得ない!」
「ほら、カイン。そんな風に言ったら失礼でしょ?それに学校では先生と呼びなさい!それに、そこまで言うのならカインはこの問題解ける?」
そう、レティアさんに言い返された少年、えーとカインだったけ?とにかく彼は、気まずそうに口ごもる。
「そ、それは…解けないけど…。それでもいきなりそんな学者向けの問題を易々解ける奴、怪しすぎるじゃん!お前、どこでそんなことならんだんだよ!そもそもどこからうちの村に来たんだ!!」
「いや、森で倒れてるところをノーラさんから助けて貰って来たんだけど…。」
どうやら大分嫌われてるみたいだ。そりゃあ、授業中に邪魔しちゃったのは悪いとは思うけど、それ以外別に私のせいじゃなくねぇ?全く、かわいげのないガキときたもんだ。
「森?そもそもあんたみたいな子供がどうやって森に入ったんだよ!しかも、倒れてるんだって、益々怪しいじゃんか!」
「いや、無一文だったし、金稼ぐために狩りを…。」
って、このまま追究され続けるといつかぼろが出そうだが。てか、これってこんなに嫌われるような事なのか?別にこいつに授業邪魔したのはまあ、悪いとは思っているがそれがこれほど嫌われるようなことの様には到底思えないんだが…。
「カイン、それくらいにしなさい!彼女は別に悪いこと全然してないんでしょ?」
「今は、そうかもしれないけど、きっと遠からずに何かするに決まっている!よそ者は、皆そうだ!」
どうやら、私個人が嫌われているというよりは、よそ者は全員嫌いだから、私も嫌いなしい。つまり、私は何も悪くないという事だよな?
…どうやら、相当ややこしいやつに目を付かれたようだ。




