20話 事後説明
「状況説明をお願いします。」
「えーと、それが・・・・。」
教会にいたロープで二人を拘束した後、私はノーアさんに状況説明を要求されていた。
まあ、子供を一人で家においてきたがいきなり家から爆発音で心配して帰てみたら家は変なおっさんがいて人質にされるし、その後心配していた子供が現れて自分も巻き添えに魔法を飛ばしたんだから心配して当然だが。
「洗濯していたら、あのおっさん達が私にナイフを突き付けて金目の物を持って来いと言いましたから魔法で退治しました。」
「つまり、あの人たちは山賊って言うわけですね。それは分りました。けど、私が言いたいのは別のことです。」
別のこと?今、あの山賊さんのこと以外に重要な話あるのか?なんか、ノーアさん怒った顔だし・・・。私、何か悪いことしたっけ。
「・・・・分りませんか?」
「・・・・はい。」
幾ら考えても答えが出ない。ここ三日間追い出されまいと一生懸命に頑張ってきたんだが・・・・。何がいけないのだろうか?
「何故危険なまねをしたか、ということです。」
「それは・・・・!?」
いや、家に泥棒が入ったらできるなら捕まえるのが当然でしょう?と言いたかったんだが、その前にノーアさんに抱きつかれた。驚いてノーアさんを見ると私の頭を右手でなでながら左耳に何かを言いかけた。
「無理してはいけませんよ?シルロッツちゃんはまだ子供ですから。もちろんあなたが今までたどってきた道は普通の子供がたどってきた道とは大違いです。あなたが強くならないと、強がらないと考えることは理解しています。だけど、ここでは、少なくとも私の隣では、その強がりも辞めて良いですよ?私はあなたが強くなくてもあなたが自分で私から離れるまではあなたを一人にしません。だから、安心して良いですよ?」
ああ。そうだった。今の私は高校3年で大学卒業を控えている、|田中政支≪たなかまさし≫ではないのだ。ここでは幼い女の子でしかない。その子が危険な山賊との戦いに自ら乗り出した。そりゃ常識的に心配しても当然だな。むしろ、心配しないのがおかしい。私だって心配する。
「ごめんなさい。」
「いえ。無事でいてくれて本当に良かった。これからは無茶してはだめですよ?」
彼女に抱かれてそのまま泣いた。そう。幾ら強がっても元はただの平和な日本の高校生だ。命の危険を何度も乗り越えてきたが、怖くないわけが無い。ただ、それを認めてしまうと、怖がってしまうと、何もできなくなる様な気がしてならなかった。何もしなくなると待っているのは死だ。もちろん、ミウが助けてくれるだろうがそれでも死は怖い。だから、私はあえてそこから目をそらしてきたのだ。
それが、今のノーアさんの声で安心してしまった。どこかで、ノーアさんも完全に信じてはならないと思っていたのだろう。私を心配してくれる彼女を疑ってしまったのだ。
彼女を信じよう。この人は私を裏切ったりはしない。
そのまま、彼女は私が泣き止むまで私を抱いてくれた。
やく30分後。やっと泣き止んだ私からはなれた私は苦笑を浮かべながら話す。
「それにしても、もう一人の男はちょっとやりすぎではなかったんですか?あの傷だと多分これから普通の生活に戻ることはできないと思いますよ?」
「それが・・・。人に使うのは初めてでちょっと加減がわからなくて・・・。」
「それはこれから危険かも知りませんね。学校に通ってみるのはどうですか?そこだと魔法に制御も教えてもらいます。」
学校?こんな田舎村にもそんなのあるんだ。
「はい。そうします。」
「では、これを。これは私が書いた推薦状です。その学校の先生とは知り合いでして。これを見せると学校に通わせてもらうはずです。」
「ありがとうござ・・・!?」
「え?大丈夫ですか?」
「は、はい。大丈夫です。」
お、おどろいた。何だこれ?
私の目の前には『チュートリアルクエスト完了。クエストページで補償を受け取ってください。』という文字が浮かんでいた。




