16話 おかしい世界
トクトク
「ん?誰だろう?」
洗濯しながら息子を取り戻す決心する私の正気を取り戻せたのはノックの音であった。
まだ日は高く、ノーアさんの戻る時間じゃない。また、教会に用がある人も、ここ三日間ここにはきていない。まあ、普通教会に用がある人なら礼拝党に向かうはずだし、ノーアさん個人に用がある人もこの村に住んでいるのならノーアさんがこの時間にここにいない事は知っているはずだ。だからこの時間帯にここに来る人はいないはずなんだが・・・
ここに来てから三日しかないし、来る人は来てもおかしくないか。私が知らないところもあるはずだし。
「はーい、どちら様ですか?」
「なんだ、ガキがいたんじゃないか。おい、お前。話が違うじゃないか。」
「おかしいですね。ここにガキなんか住んでいないはずですが・・・・まあ、別にいいじゃないですか。ガキですし。」
「それもそうか。ガキだし。」
「えーと、何の話ですか?」
何か、I am 賊って感じの筋肉ムキムキで怖い顔のおっさんと、ちょっとやせて、狡猾に見える笑いを浮かべている男がなにやら話している。どうやら、私がここにいることが予想外だった様だ。三日前にここに着た当たり前の話だが。
それにしても、ガキガキ言うね。まあ、誰が見ても今の私の外見は可愛い女の子だから仕方が無いか。内面は性欲旺盛な高校3年の男子高校生だけどね。
こんな人でも教会に来たお客、だよな?外見で人を判断してはならないんだし。外見はかわいい女の子でもパンツかぶって踊る変体ガキだってあるし。
「おい、ガキ。お前、ここに住んでいるのか?」
「はい。そうでが・・・・」
「そうか。なら金になりそうなものもってこい。」
「・・・・・え?」
金になりそうなもの?そんなの知っているはずがん無いじゃないか。来てから三日しか経っていないんだし。元々ここに住んでいたのならまだしも私が知るのはトイレと自分の部屋と台所とノーアさんの部屋となんか高そうなものがいそうな、ノーアさんから『ここには入ってはいけませんよ?』と言われたいつも鍵が掛かっている部屋くらいしか知らないし。
あれ?随分と知ってるね私。
それにしてもあの台詞、決して普通の客が口にするべき台詞ではない台詞だが・・・
え?もしかして、私、今超ピンチ?
「えーと、もしかして泥棒さん?」
「違えよ。人を泥棒扱いすんな。」
あ~良かった泥棒じゃなかったんだ。たかが三日で命の危険感じるのかと思った。まあ、幾らゲームの世界だといっても村出まで命の危険感じることがあったらおかしいよね。いや、ゲーム以前に三日間隔で命の危険を感じる危険な世界に人類が絶滅しないわけが無いか。そんな世界いたら、おかしいよね。つまり、人がちゃんと生きて村まで作っているこの世界で三日間隔の命の危険は無いはずだ。
「そうよ、そうよ。泥棒なんかに比べたら失礼じゃないか。僕達は立派な山賊だよ。命が惜しければ早く持ってきなさい。
やせた男が、私の首にナイフを突きつけながら言った。
ここって、おかしいな世界だったんだ。




