14話 シスターノーア 5
「大丈夫ですか?しっかりしてください!」
爆発音の発生地はに行く途中に子供が気を失って倒れていました。空色の髪を持つ10歳くらいの女の子です。来ているローブはこれ以上使うのは無理と言えるくらいにぼろぼろになっており、所々に血が付いています。また、右腹はとても酷い傷を負っており、そこから血がだんだん流れ出しているのです。
・・・・この子が生き残る可能性は無いですね。まだ生きてはいますが虫の息ですし、既に血を失いすぎています。もし、私が治療道具を持ってきたのなら助かったかも知りませんが、治療道具は全て教会においてきました。30分も過ぎれば、彼女を死ぬでしょう。
「・・・仕方が無いことですね。私ではあなたを助けないようです。」
私は彼女のことを、諦め目的地である爆発音が聞こえた場所にまた歩き出しました。
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「これは、一体・・・」
小さな少女から離れて約15分。そこには焦げた匂いがする凍った熊死体がいました。はい。焦げているのになぜか凍っている、熊です。
普通ならありえないことです。焦げる、つまり燃やす為には熱が必要だし、凍るためには冷気が必要です。相反するこの二つが混じっている熊の死体は異常としか言えないでしょう。
「一体どうすればこんな風にできるでしょうか。・・・・・魔法ですか?」
私の疑問に答える人はいません。熊をこんな姿にしてしまった人は、少なくとも私の視界にはいませんですから。多分、魔法でしょう。こんなことできるのはそれ位のはずです。近づいて熊を確認して、やはり魔法以外にこんなことができる方法はないという確信がしました。
そう。この赤い熊は魔法で殺されたんです。
そう、魔法で赤い・・・・
赤い?!
「この熊・・・・まさか?!」
私の頭に浮かんだのはアルムンさんを殺した赤毛の熊。焦げてしまい、元の赤色とは違う色になってしまいましたが、赤毛の熊なんかあまりいません。この大陸全土に10匹くらいいるでしょうか。この熊は、あの時の彼を殺した熊なのです。そうに、違いありません。
「・・・・え?」
気づいた瞬間、私の目から涙がこぼれ始まりまあした。彼を殺した熊。その熊が今、私の前で死体となって転がっています。彼の仇は討たれたのです。それを認識した瞬間、私の中の村人とこの世に対する憎悪と恨みが崩れ去りました。彼の仇は打たれたのです。他の何よりそれが重要なのです。
「アルムンさん・・・」
いけない。感傷に浸っている場合ではありません。私の父であり、上司であり、恋の相手でもあるアルムンさんの仇であり、私を今まで散々苦しめた熊を殺し私を救ってくれた人に例を言わなければ。
だけど、一体どこにいるのでしょう。礼を言うにも相手がいなければできません。一応、ここにはいないようですが・・・何か手がかりとか無いのでしょうか。
「・・・・これは」
恩人の魔法使いさんに関する手がかりを探していた私の目に映ったのは、熊の下から見える血の跡です。血の跡は熊から離れ、村の方向に続いていました。
いけません!どうやら、魔法使いさんは熊との戦いで負傷を折ったようです。ここに落ちている血から見ても相当酷い傷に違いありません。早く治療しないと危ないはずです!
私は慌てて血の跡を追いました。
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「え?なんで?」
血の跡が途絶えたところにいたのは、先に過ぎ去った、少女でした。
理解できません。熊を倒してくれた魔法使いの跡を追ったのに何故少女がいるのですか?これでは、まるで私に見捨てられもはや死んでいるであろうこの少女が私が探している魔法使いさんのようではありませんか。そんなこと無いはずです。あんな凄い事をする魔法使いがこんな小さい子であるわけが・・・・
「・・・・ッ!」
私の目に入ったのは少女が大事さそうに右手に握っている杖でした。杖の先には彼女の髪の色と同じ空色の宝石が付いていました。これは魔法使いの武器であるワンド。これを持っているということは、彼女が魔法使いであることは間違いない。
「・・・ああ、なんてことを・・・」
私はなんてことをしてしまったんですか・・・。恩人の魔法使いを見殺しにして一体、何をしていたのですか。あの時、私がこの子を助けようとしたのなら、もしかしたら助けたのかも知らないものを・・・。
「・・・・・っあ・・・・」
「生きてる?!」
まだ、まだ、生きています!!!死なないでください!私はあなたに何のお礼をしていません!あなたに救われながら何のお礼もできなくては彼に合わせる顔がないのです!!
私は彼女を背負い村に向かって走ったのです。
これでノーアの話は終わりです。
次からは、またシルロッツの観点に戻ります。




