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主人公、聴取さるる。
被疑者:セトグチ ケンヤ【以下甲】
容疑:窃盗(無銭飲食)
告訴人:ジャン=ピエール・ドネィ【以下乙】(セトゥシャン街にて青果店を営む市民也)
経緯:1時30分頃、乙の営む商店を甲が来訪、品定めをする中、甲は乙の商店の商品である果実(林檎―10サク)を手に取り、食した。乙が代金の引き換えを要求するも、甲は詭弁を弄した上、逃走。警ら中の本官が甲を取り押さえ、乙より事情を聴取した上で、窃盗の嫌疑により同行を求めた。
甲からの聴取によって本官が愚考するには、この件は先だって問題となっていた件のように、公序に反する客引きにより、慣習を理解せぬ異邦人が騒動に巻き込まれたものと見るのが適切だろう。甲は注意を与えた上で放免の末、乙には再度指導をすべきと考える。また、甲には虚言癖ないし精神的疾患の疑いが見られる。恐らく今回の事例に関連はないだろうが、養護院への相談も考えねばならない。