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龍乃牙編 11
前々から、そこに行くということは言っていたので、あらかじめ調べていたのが幸いした。
すぐに予約することができ、宿題も早々に終わらせてから、私はカバン一つで旅行へ出た。
手野市から手野鉄道で大阪まで、そこから手野鉄道高速線を使うと岡山まで行ける。
岡山駅からはJR在来線に乗り換えて、美作市の林野駅からさらにバスへ。
ゴトゴトと揺られていると、どんどんと山奥へと入っていく。
「ねえ、本当にあってるの?」
イヤホンをして音楽を聴いている私に、伊豆ちゃんが聞いた。
「あってるよ」
ただ、バスの中は運転手のほかには私しか乗っていない。
全部で20人くらいが乗れるような小型バスだということも考えると、いつもこれぐらいしか乗っていないと思う。
しばらく、駅を出てから30分ぐらい乗っていると、車内放送で目的地に着いたことを知らされた。
「次はー、砂賀役場前ー、砂賀役場前ー」
女性の自動音声だ。
「ここだよ」
伊豆ちゃんに言われるまでもなく、私は降車ボタンを押した。




