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ガムゼッタ教編 3
本日は、信徒代表の者が来ているという。
ガムゼッタ侯は、秘書からそう聞いたときに、空中へ浮かべていたキーボードの類を手を仰ぐことによって透明化させて誰にも見えないようにした。
そこには、ガムゼッタ教の経典である伝聞書の全文が記されている。
もっとも、ガムゼッタ候はその全てを暗記しているわけであるが、たまに確認のために、このように読んでいるのだ。
だが、今日はそれ以外にもう1つ、確認しておかなければならないことがあった。
説法を行うための巨大な聖堂ではなく、人数も限られているため、小ぢんまりとした説法室へとガムゼッタ候は、その金色の法衣のすそを引きながら歩いていった。
緑色のドアを開けると、4人の信徒代表がすでにガムゼッタ候を待っていた。
「御名を崇めよ!」
胸の前で手を合わせ、ガムゼッタ候に挨拶をする。
「わが名を崇めよ。みんな座ってくれ」
そう言って、ガムゼッタ候が指定席である席に先に座り、それから信徒代表が各々の席に座った。