神父と悪魔編 27
手野八幡神社から約1時間ほど、京都御所そば、東側に郁芳家はそこにあった。
中心線からやや南側にあって、古くは大臣家の家格であったという説明を受ける。
「家格か価格か知らねぇが、どんな奴らなんだよ、郁芳家ってのは」
運転手の横で指示をしている岩屋さんに悪魔が尋ねる。
「大臣家の一つ、旧伯爵家であります。現在の手野家、その本家である砂賀家の本家となります。また、その血筋は手野家を通してイギリス、スコットランド地方におりますグッディ子爵へ、砂賀家を通してアメリカのテック・カバナー家へとつながっております。もともとは郁芳門と呼ばれていた大内裏のもんのそばに居を構えたところから始まります。源常の子、源直の孫、源要を始祖とし、その後西暦900年ごろに郁芳門そばに郁芳家住宅を建てます。内大臣となりましたのは1099年のこと。5代郁芳貞定が従二位となりました。その後大臣家となり、これから参ります郁芳家住宅は天明の大火により焼失したのちに建てられたものです。また明治維新後、住宅は西郁芳家に譲り、東京へと移られました。現在も郁芳家本家は東京へと住んでおられます。今日は郁芳家とともに西郁芳家にも来ていただいております。彼らの協力なしに、闔祓いの謎は解けないと思われたので」
「分かった分かった」
悪魔は情報過多のようだ。
なるほど、悪魔を抑えるためには処理能力以上の情報を与え続ければいいのかもしれない。
一つ覚えておくことにしよう。




