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書物編 3
城の中は、入り組んだ迷路のような構造をしていた。
この城は昔は城砦として実際に使われていたものであったから、その時の名残なのだろう。
「申し訳ありません、このように歩かせてしまいまして」
ラクーディオンは、俺を先導しながら声をかけてくれる。
「いえ、この本について教えていただけるのであれば」
俺はそう言って、ラクーディオンについて歩き続けた。
「ここなら、あなたが求める全ての知識が得られるでしょう」
重厚な鉄の、主そうな扉をゆっくりと両手で押し開けると、そこには、数百万冊はあろうかという図書館だった。
「この部屋から出ないようにお願いいたします。何か御用がありましたら、扉横のひもを引っ張ってください。使用人が参ります。お手洗いについては、図書室内にございますのでそちらをお使いください」
一礼して、ラクーディオンは部屋から出ていき、図書館には俺一人だけ残った。