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神父と悪魔編 26
壷中天の家から出ると、太陽の光があふれてくるようだ。
「けっ、気に食わねぇな」
だが、悪魔は気に入らないようだ。
死にはしないが、少しきついようだ。
「大丈夫か」
「ああ、大丈夫だよ、心配されなくともな」
悪魔はそれでも、気が参っているように見える。
少しはいたわってやりたいところではあるが、相手は悪魔だ。
堕落の象徴として、むしろ掃われる対象となる。
そういうことで、同情は表に出さないようにした。
「それで、枢機卿さんよ」
悪魔は私に訊いてくる。
「どうした」
「北海道、だっけな。あそこに置いてけぼりにしたあの人はどうするんだ」
「ああ、彼ならこちらに来てもらうことにしたよ。まさに手野市にいるのだから、後で観光をさせてもらおうかと思ったわけだ。諸々終わった後、水島さんには世話になったぶんのお礼もしたい」
行きましょう、と向こうで岩屋さんが待っている。
まずは、次の目標である謎の儀式、闔祓いの話を聞くため、京都へと向かうことにした。




