神父と悪魔編 2
聖書を、私はゆっくりと閉じる。
眠る直前の祈りを、ちょうど唱え終わったところだ。
「終わったのか」
タイミングを見計らって、同居している悪魔が部屋へと入ってくる。
「ああ、ちょうど終わったところだ」
「しかし、あれだな。なんでそんな文句を唱えなきゃならないんだ」
「私の勤めですよ」
悪魔は、嫌そうな顔を私に向けてくる。
「…もしや、嫌いなのか」
「まあな、聖書はどうも好きになれねえ」
「そうか、お前にも苦手な物があったのか」
私はそのことを聞いた途端、笑いが止まらなくなった。
「あっはっは、そうかそうか。お前でもか」
「笑うでねえ。そもそも教会の中だって、静的な空間だから苦手なんだぞ」
「だったら、外で寝ればいいじゃないか」
涙がこぼれてきたから、あわてて手でぬぐいながら、笑いを抑える。
「ったく。家有る者の方が良いに決まってるだろ」
「まあ、それもそうだな」
私はそう言って、眠ろうとした。
その時、コンコンと、まどをたたく音がする。
「…何か聞こえたか」
もう一度。
それはノックの音のように聞こえた。
「ああ、聞こえたな」
悪魔も聞こえたというのであれば、間違いないだろう。
窓を開けて外を見回すと、壁より10cmほど低いところに頭が見えた。
「どうしたんだい、こんな時間に」
私は、その少年に聞いた。
「中にいれて?」
少年は、それだけ言った。