龍乃牙編 2
「そうだね、君も行きたいのであれば、大学に行っても構わない」
「本当ですかっ」
私は思わず跳ね回る。
魔法というのは不思議なもので、私はその力があるという。
それが、退魔の力として目覚めたということのようだ。
宗教法人として設立されている龍乃牙は、登記上は竜乃牙と書いている。
理由はよく知らないが、そういうこともあって、漢字はどっちでも構わないそうだ。
「でも、場所を特定させてもらってもいいかな」
今話しているのは、龍乃牙最高顧問であり、退魔の力を持っている人たちを束ねている総指揮官だ。
近所の外出はいいが、遠出するときには彼と話をしてからということになっている。
それに、近所に高校はあるが、大学はないから、大学に行きたいとなれば当然彼の許可がいる。
大学に行きたいのは、学校の先生になりたいからだ。
ずっと閉鎖された環境にいると人格的によろしくないということで、全寮で生活しながらも、近所にある高校へと通っていた。
親には龍乃牙から多額のお金が渡されていて、その中から少し私のところへと渡ってきて、お小遣いとして使っている。
「どこの大学に行くか、決まってるってことですか?」
「そういうことだ。君には、この大学へと通ってもらいたい。当然、試験に通ってもらわないといけないがね」
そういって渡されたのは、電車とバスを乗り継いでいける、一番身近な国立大学である手野大学だった。
「それはいいですけど、どうしてここに?」
私が聞いたら、最高顧問は少し微笑んでいた。
「そこには、君の力を伸ばすための仕掛けがあるんだ。退魔の力を持っている人らは、大学に行きたいという話になればそこに通わせるようにしているんだよ」
どんな仕組みなのかは、行ってみてのお楽しみらしく、まずは1年かけての受験勉強が始まった。




