神父と悪魔編 22
飛行機は小さな滑走路へと着陸する。
「本機は、手野空港へと到着しました。気温は華氏78.8、摂氏26。天気は晴、湿度は30パーセントです。シートベルト着用サインが消えるまで、そのままでお待ちください」
機長の放送で、空の旅は終わりを迎えたことが分かった。
私がそのままで待っていると、ポゥンという音がなった。
どうやら、シートベルト着用の指示が解除されたようだ。
「それでは参りましょうか」
上空から見たこの空港は、とても小さく見えた。
どうやら、ギリギリの土地しかなく、それでも空港を作りたかったのだろう。
彼が促し、私はゆっくりと席を立った。
小さな空港という最初の感覚はあながち間違いではなかった。
看板には府立手野空港と表記されている。
多くても1日に旅客機は5便ほどしかこないのは、受付上にある看板でわかった。
ただ、貨物機はいくつも飛んでいけるようで、それぞれが、家紋と呼ばれる紋章を付けていた。
「あれは何の紋章なのですか」
外に出る前に、建物内から見えていた、旅客機よりも大きい飛行機を指差した。
「あれは手野貨物の航空機です。紋章は手野グループであることを示しています」
手野グループは名前はよく聞いている。
そういえば、彼は手野産業の人だという紹介をしていたのを思い出す。
ここは、手野市内のようだ。
分かったのは空港建物にある、初代市長の銅像があり、そこの銘板にそう書かれていたからだ。




