書物編 21
「大丈夫なのですか」
店長が、俺に聞いた。
店から出るときに、本はさすがに貸してくれなかったが、この聖ベルベッドの石像は持って帰って構わないといわれた。
それでも、頭に大きなバンソウコのようなものを貼っているからこそ、かなり目立ってしまう。
「ええ、大丈夫ですよ」
ふらふらすることもなく、俺はしっかりと立てていた。
「なら、大丈夫でしょうが……」
きっと店長は心配性なのだろう。
こうも繰り返し聞いてくるということは、きっとそうだ。
「大丈夫ですから。それでは」
「ありがとうございました……」
尻切れに聞こえてくるのは、ドアを占めながらの声だったからだ。
そして、俺には謎が一つ増えた結果に終わった。
聖ベルベッドの石像、これが意味するところは分からない。
「ま、何とかすっか」
それでも俺は大きく伸びをしながら、リュックの重さを感じていた。
全ての手がかりが尽きたわけではない。
ならば、その一つの手がかりを、どこまでも突き詰めていくだけだ。
「あー、でも、まずは家帰りたいなぁ……」
そう呟きながら、俺は歩いていった。




