2001年組編 6
「出してもらえると思ってるのか?」
組長が2人に言う。
ニヤついた、いやな顔をしている。
少女はあきらめたような顔をしている。
「君らは神に選ばれているのだよ。全ての人の中で、最も幸運な人なのだよ」
「どこがだよ」
少年が背中を向けたままで話す。
「このどこが幸運だっていうんだよ」
「今は分からないかもしれない。でも、必ず幸運だったということがわかるさ」
閉じ込められている状態でありながらも、芯を見失っていない。
ここから二人で出ていくと、出ていけるのだといつまでも信じている。
その心の強さが、彼らを神に選ばれた者としているのであろう。
「衣食住に、ネット、何でもできるって言っていたよな」
「それは我々とともにいるときに限る、とも言っておりましたでしょう」
組長が少年に言った。
初めはマンションの一室だった。
ネットも使い放題、衣食住も保証、ただ、2001年組に逆らうな。
それだけだった。
だが、それも2001年組に逆らって、さらに助けを求めるメールを送ったことで終わった。
そこからは1時間もかからずに目隠しにさるぐつわ、さらにはかなり大きな頭陀袋に入れられて、ここへとやってきた。
「ともあれ、元気そうで何よりです」
ご飯にはまだ時間が早かったらしく、今は様子見だけで終わった。
組長は少年らの話には耳を傾けようとせずに、階段を上がって、再び地下室を隠した。




