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ガムゼッタ教編 2
「わが名をあがめよ!」
教祖は、信徒の前で、叫びながら両手を広げて、崇め奉るように指導していた。
全体会合と呼ばれる、年に1回のこの大会議において、教祖は全信徒の前に姿を現して、経典である伝聞書の一節を朗読し、さらに、その解釈を行う。
だが、同じ文章を読んでも、その時々や世界情勢によって解釈が変わる。
その上に、それぞれの信徒が集まる教会のような形の教徒館においての説教を行う時に、それぞれのグループの会合での解釈が山のように数がある。
なにせ、異なるということを認めているため、解釈は人によって違うし、同じ人でも時間によって異なることが多い。
だが、統一された解釈ということも存在している。
そのうちの一つは、教祖は神ではなく、代理人であり、伝聞者であるということである。
統一解釈のためには教祖を含む各大陸の代表者5人による、通称5人組の決定による。
5人組は、ガムゼッタ教において絶大なる権力をもっているため、彼らの最低に逆らう者は皆無である。