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神父と悪魔編 19
部屋はツインだった。
「気を回してくれたのか……?」
思わず私は声に出していた。
「んなことはないだろ。どうせ、金の節約だよ」
悪魔がそう言いつつ、ベランダ側のベッドに飛び込む。
「こらこら、何をしているんだ」
「こんなふかふかの物を見たら、そりゃ、飛び込みたくなるだろ。当然のことさ」
悪魔は平然と言っているが、私はそんなことはない。
荷物はボーイが部屋の中まで運んでくれ、チップを渡そうと思ったら断られてしまった。
「この国は、チップはいらないんだよ」
「そうなのか」
「ああ、この本に書いてある」
いつの間にかったのか、旅行書を寝ころびながら読んでいた。
「それで、目的の物はどこにあるんだろうな」
「さて……」
少なくともここまで来れた。
だが、これからのことは、私たちには手掛かりがなかった。




