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2001年組編 5
地下は思いのほか暖かい。
それも、選ばれた者らがゆっくりと眠れることを前提にしているためだ。
「いかがお過ごしかな」
組長は、二人に話しかける。
天井から床まで貫かれてる鉄柱は、それだけで威圧感を感じさせる。
それが、何本も並んで、人の出入りを阻んでいた。
ただその壁の隅、出入り口としてつあっている階段とは反対側の隅だけが、動かすことができるように加工されている。
そこも今は頑丈に鍵がかけられており、組長だけが開くことができる。
それ以外には、御飯用の器を中に入れるための口があるぐらいだ。
「あの…お家に返してください……」
少女が力ない声で組長へと話しかける。
そばには、少年が組長へ背中を向けて眠っていた。
座敷牢のように、ここだけは畳敷きであり、鉄格子の外側のコンクリートの床面とは異なっていた。
「出してほしい?」
組長が鉄格子に近寄って聞いた。




