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書物編 18
一枚めくるたび、面白さが増してくる。
それは、この書物の真の楽しさというべきものだ。
この本のために、いったいこれまで何人の人が命を落としてきたのか。
そして、何人の魂が救われたのか。
それが分かっているからこそ、両肩に何かの力がかかっているように感じる。
「それは真実である」
唐突に声をかけられて、驚く。
後ろを振り返ると、さきほどの店主ではなく、見たことがない白いビロードを着た人が立っていた。
店主がどこにいるのか、目を凝らしてみても、どこにも見当たらない。
それは、俺が今までいたところと違っているからかもしれない。
気づくと、洞窟ではなく、何かの宮殿のようなところにいた。




