書物編 17
「封書と呼ばれるものは5つあります。それはすでにご存じのようですね」
店主が先に中に入り、それから俺が入る。
「ええ、ライダーズ、公暁書、ガラッシェ、キラーパラル、図柄標本の5つですね」
「その通りです。そして、ライダーズは、その入門書になります」
「入門書?」
何を言いたいのか分からずに、俺は聞き返す。
「本来、それら5冊は、段階を追って解答していく試験のようなものでした。進級試験と言ってもいいかもしれません。落書き図、と併せて読まれているのも、そのためだといわれています」
「その最初が、ライダーズということですか」
「その通りです。最も、これも私は父から伝えられた口伝を頼りに話しているだけなので、もはやどれが真実かは、ごくごく限られた人しか知らないでしょう」
目が慣れると、中の様子もわかるようになる。
明るかったのは、天井から降り注いでくる光のせいだった。
巨大な洞窟に作られた、たった1冊の本のための部屋だ。
「こちらです」
壊れそうもない、そんな頑丈な床を歩きつつ、俺はとうとう目指していた本にたどり着いた。




