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書物編 16
「ところで、一つ尋ねてもいいでしょうか」
「どうぞ」
店主が俺に聞いてくる。
「どうやって、その名前をお知りになられたのですか」
「封書、というものからです」
「ほう。封書、ですか」
そこで、店主に俺は今までの旅のことを話した。
話ながらも、だんだんと店の奥へと入っていく。
地下の何階か、感覚がなくなってきた。
「到着です。こちらの扉を開けてください」
石造りの廊下を延々歩かされて、たどり着いたのは煉瓦でできた扉だ。
初めて見る作りで、わずかにためらう。
だが、意を決して、取っ手を引いた。
かなり重いが、引けないことはない。
ホコリが舞い散る中、音もなく開いた扉の先は、まぶしかった。




