神父と悪魔編 15
3日後、ようやく私は復調した。
「なんだ、もういいのか」
ベッドから起き上がっている私を、様子を見に来た悪魔が驚いた顔をしている。
「ああ、もう大丈夫だ。軽い仕事からなら、何ら支障がないだろう」
そういいつつ、私は緋色の衣に身を包む。
私の使命はすでにわかっている。
ただ、そこにたどり着くための道が分からないだけだ。
「あの詩編に何の意味があるのだろうか……」
今の状態で分かるはずがない。
あまりにもヒントが少なすぎる。
そう思っていたら、悪魔が何かの本を持ち出してきた。
「万国百科辞書……」
「とにかくわからんからいろいろとこっちでも調べていたんだ」
「ほう。君がかい。何か裏でもあるんじゃないだろうな」
「何をおっしゃるか。少なくとも俺はな、俺に科された職責を果たそうと頑張ってたんだよ」
「ほう」
それは正直に驚いた。
そういえば、倒れている間にも、図書館に行っていると言っていたような気がする。
それはどうやら早く私から離れたくてしているようだ。
嫌々と言うよりかは、自由になりたいから、という気持ちの方が強いらしい。
「では、解読に取り組むとしよう」
「そうだな」
私が言うとそばに椅子を持ってきて、ベッドそばにサイドテーブルを寄せる。
テーブル上に百科辞書を乗せると、ページを手繰り始めた。




