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書物編 15
「その名前、久しぶりに聞きました」
青年がそう俺に言った。
「ということは、ここで間違いないのかな」
「ええ、ここに店を構えて500年は経っておりますが、それまで10人もいないほどの人数が、彼らの名前を挙げ、本を請求しました。僕は、71代目のこの店の当主です。その名前を聞いたら、ある場所に案内しろと言われています。どうぞ、こちらへお入りください」
イヴァノコフという名前だけで、何を知りたくてやってきたということがわかるらしい。
ただ、もしかしたら、古書を探すためだけにやってきた、単なる旅人かもしれない。
そう思いつつ、俺は彼についてカウンターを乗り越え、店の奥へと歩いていく。
跳ね上げ式でなく、下を潜り抜けるタイプだ。
そして、歩きながら、俺は彼から一つの質問を受けた。




