神父と悪魔編 14
翌朝、とても珍しいことではあるが、私は非常に目覚めが悪い。
二日酔いのごとく、頭の芯が痛んでいる。
傍らにおいてある水差しからコップへと水を取り、一口飲む。
清らかなその水は、わずかに喉を通り、それから激流がほとばしった。
「おう、起きたようだな」
悪魔は、私の横に立っていた。
まだベッドから起き上がれない私を何か見つめているようにも見える。
「どうした」
「暇だったからな、図書館で本を読みあさっていたんた。行く人行く人、お前の従者て信じているもんだから、勉強熱心でいいことだと言われ続けてな」
どうやら、ついでにお菓子の類ももらったようだ。
「それで、今、二日酔いのように頭が痛いだろ。内側から業火に焼かれるようにな」
「分かっていたか」
私はそれだけ言って、コップにわずかに残っていた水を飲み干す。
幾分はマシになったとはいえ、いまだに頭は痛み続けている。
「それはな、あの悪魔に近寄りすぎたんが原因だ。2、3日寝倒したら、嘘みたいにきれいさっぱり治ってるだろうよ」
「あの悪魔とは、アスタロスのことか」
「そうだ。ま、ゆっくり寝ておけよ。本来であれば、俺に近寄ると同じ症状が出るんだが、もう慣れちまったようだしな」
悪魔がそう言って、図書館へ戻ると言い置いた。
どうやら、カトリックのこんなところに入るのは初めてらしく、それこそ本物の子供のようにはしゃいでいるようだ。
私はそれを見て、ふっと息を吐く。
そしてゆっくりと目を瞑ると、深い闇へと私の意識は霧散した。




