神父と悪魔編 13
「しかし、これがどのような意味があるのだろうか」
特別に与えられた部屋の中で、その禁忌の本のページを、私は一枚一枚めくっていた。
内容としては、昔、溺れさせられ殉教した聖人が沈められた泉で、万病に効く水が湧いたという話だ。
まるで昔読んだ絵本のようなテイストの本だ。
「どうしたんだ。わからんのか」
そこに悪魔が少年の姿でやってくる。
この姿であれば、他から見られても気にされることはない。
後ろから見ている悪魔は、文字の部分ではなく、絵の部分を指でなぞった。
「深淵なる者。過去、現在、未来と滅びぬ国へ向かい、混沌の中から静寂を得た。って書いてあるな」
「読めるのか」
「というよりも、絵の中に文字が書かれているように見える、てのが正しいな」
私は悪魔からの言葉を頼りにして、本を上下逆さにして絵の部分を注視する。
「……なるほどな」
そこには悪魔の言うとおり、文字列が浮かび上がってきた。
1ページずつ、言葉が違っていて、それをつなげるとまるで詩のような感じに仕上がった。
「感情なる者。悪魔と天使は踊る。日が昇りし土地は、清められた。
父子なる者。日はより高く舞い上がり、その土地には聖油が注がれた。
死すべき者。ゆるやかな曲線を描き、その者は消え失せた。
敗けたる者。かの土地へ向かい、正義の敗北を受け入れた。
勝ちたる者。手紙を送り、偽善の勝利の果実を手に入れた。
いにしえの者。天と地と今を手に入れはしたが、手放した。
まだ来ぬ者。過去は未来の積み重ねであり、上を目指した。
時の番者。別方向へとただ一人歩き、そしてたちどまった。
神の代理者。その口からは毒が吐かれ、それは真実だった。
神その者。天依代は悪魔に化けた。して天使へと浄化した。
万物なる者。全ては一つへと統合される。個は満ちたのだ。」
「うーん……」
よく分からないと言うのが率直な感想だ。
とりあえず、今日はこれまでにして、後は明日すると言うことにした。




