神父と悪魔編 1
私は、神父をしている。
わけあって、今は悪魔と一緒に教会の中にいるわけだ。
「セラフ様は、いったい何をお考えになって、私の下に悪魔をおいているのであろうか…」
「まあ、そんなこと考えなさんな。考えたところで、単なる人間風情に分かるわけがないだろうさ」
「悪魔に正論を吐かれると、なぜか無性に腹が立つな」
私はため息交じりに、後ろに立っている悪魔に言った。
悪魔と言っても、姿は人間と余り変わらない。
この世界においては、人間の魂というのは、悪魔と天使という二つの成分から成り立っているとされる。
通常であれば、均衡状態にあり、どちらかが7割以上を占めるということはない。
だが、その均衡が崩れた時、その瞬間に、人間は発狂する。
さらにその状態が続くと、完全にどちらかに支配されるということが起こる。
それが今、私のすぐ後ろに立っている悪魔の状態だ。
見た目人間なのは、そういう理由もある。
一方で天使も存在する。
この天使も人間と余り変わってる姿ではない。
それでも、一般的に考えられるような、白い羽が生えた天使や、黒いしっぽが生えた悪魔というのも存在している。
セラフ様やルシファー様は、その系統に当たる。
彼らは、人間とは別に、神の忠実なるしもべとして、また、神の代弁者として世界に存在する。
そして、たまに人の前に現れては、予言を行ったりする。
「さて、今日はこれで終いですかな」
私は、書類を書き終えると、悪魔を振り返ってみた。
「俺はまだまだ元気だぜ」
「そんなこと言わずに今日は寝ますよ」
私は悪魔にそう告げた。