ガムゼッタ教編 12
台座に乗っかっている天使立像は、動く事はないが、それでもガムゼッタ候を見降ろしているように見える。
「天使よ、いったい何を見ているのだ」
瞳には碧い光が宿っている。
マリンブルーよりも、もっと濃い感じ。そう、これこそロイヤルブルーサファイアというべきものだろう。
ガムゼッタ候は確信を持って、それをいうことができた。
そして、像の全体を見回すと、羽はまさに動こうとしているかのように彫られており、そこにはなにやら白色の色が塗られている。
もはや像自体から光が放たれているのではないかと疑うような純白さなのだ。
大理石だけではない、なにかもっと手が入れられているような感じを、ガムゼッタ候は受けていた。
「とりあえず、持って行けぬものか……」
そう言って、天使像を台座から動かした。
見た目に反して、像は羽毛のように軽かった。
持ち上げ、それからゆっくりと床に置く。
台座から見られていたが、足元へ持ってくると、ガムゼッタ候の腰ほどの高さしかない。
その時、天使像がちらりとこちらを見上げた。




