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書物編 9
ゆっくりと電車が発車したのは、乗り込んでからまるまる20分は経っていた。
ここから、目的の駅であるイヴァノコフまでは約18時間。
途中から無電区間に入るため、ディーゼルカーがけん引している。
時速は60kmかもう少し早いと言ったところだろう。
そのため、かなり時間がかかってしまうのだ。
俺は、その間に資料をまとめることにした。
「ふぅむ……」
相室は嫌いだが、寝台列車でできるだけ安く抑えようとすると仕方ない。
だから、今、俺の頭の上では太ったおっさんがいびきをかきながら寝ている。
だが、到着と同時に、すぐに動く必要があるため、このわずかな時間でも調べ続けなければならない。




