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神父と悪魔編 6
「本、でございますか」
私は熾天使へ聞き返す。
「聖水と清き川のたもとにて。それを探しているのだろう」
「ええ、その通りでございます」
「それは、ローマ教皇が知っている。だが、普段は禁書になっておる」
「では、どうすれば見えるのでしょうか」
悪魔がはっきりと言った。
「禁書だろうがなんだろうが、俺は勝手に見させてもらうぜ。神さんが決めたことなんざ、俺はしっちゃこっちゃないからな」
「ええ、まさしくその通りでしょう」
熾天使が答えるが、悪魔の発言は織り込み済みだったようだ。
「あなたはそうはいえないでしょう。ですので、ここに紋章を授けます。枢機卿として、今後行動をなさい」




