書物編 6
「いかがいたしましたか」
鈴を鳴らすとすぐに執事がやってきてくれた。
「このページをコピーしてもらいたいのですが」
「畏まりました。しばらくこの部屋にてお待ちいただけますか」
執事は本を受け取って一礼すると、すぐに扉を閉めて、どこかへと行ってしまう。
そして、3分とかからずに帰ってきた。
「お待たせいたしました。こちらでよろしかったでしょうか」
ページを確認し、確かに俺が欲しかったところだ。
「ええ、大丈夫です。ありがとうございます」
「いえ、仕事ですから」
「それで、ここからイヴァノコフへ行こうと思うと、どう行けばいいでしょうか」
「それでしたら、すぐそばにある、カリストリン中央駅へいくのが早いでしょう。そこからイヴァノコフ行きの寝台列車が出ておるはずです。分からなければ、カリストリン中央駅にて、駅員に聞くのがよろしいかと」
「分かりました、何から何までありがとうございます」
「仕事ですから」
執事とは、このように我慢強い仕事なのだと、この時、はっきりと分かった。
そして、俺は当主によろしく伝える様に執事に頼み、家を出た。




