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ガムゼッタ教編 5
伝聞書を持ってきたガムゼッタ候は、信徒代表の面々とこれからについて話していた。
「神の計画は成就される。だが、神の計画に、我々は関与することができるのでしょうか」
信徒代表の一人がガムゼッタ候に尋ねる。
そこに、闖入者が現れた。
「ガムゼッタ候はいらっしゃるか!」
それは、見たことがない風貌の男であった。
「どちらさまかな」
銃を構える衛兵を手で静止して、ガムゼッタ候は闖入者を立ちあがって出迎えた。
「神は、まもなくご降臨する。そのとき、ガムゼッタ教をはじめとする諸宗教は、全て壊滅する。世界は、一つの新宗教、神の真の名による、真の統治が始まる。皆皆、広くしらしめなさる神の御前で、一つとなる」
そこで、男は倒れた。
「…この男が、神の身許に行けることを願いましょう」
ガムゼッタ候が宣言をすると、衛兵も、信徒代表全員も立ちあがり、男の心の安寧を祈願した。




