神父と悪魔編 4
悪魔と天使のバランスが崩れているということに気づいてから1か月間。
私は、神父としてできる限りのことを行った。
「と、言ったところで、一神父にできることなぞ、限られているわけで」
悪魔を目の前にして、説教用の書面を仕上げていると、思わずそう独り言がこぼれてしまった。
「まあな」
それを悪魔が受け取る。
「だと言っても、しないよりかはましだろうさ。とりあえずさ、本が重要だってことは分かっただろ」
「そうですね」
ため息を吐きながら、私は悪魔に答える。
その本というのが、また問題で、なんでもアルマゲドンを迎えるまでに揃えておかなければならないらしい。
そして、最大の問題は、題名しか分かっていないということだ。
「なんだったけね」
私は悪魔に尋ねる。
「“聖水と清き川のたもとにて”だな」
悪魔はよどみなく答える。
「中身はきっと、キリスト教の関連の物なのだろう。とはいっても、なぜそれを迎えるまでに必要なのだろうか…」
「それはきっと、天使にでも聞けばわかるんじゃないか」
悪魔は簡単に私に言ったが、天使様が我々のような羊たちの元へ、簡単に来てくれると思えなかった。




