神父と悪魔編 34
「ほう、また懐かしい本だな」
ひょいと取り上げる6。
そしてこれの何が知りたいのだ、と私たちに尋ねてきた。
「隠されている詩について、何をもって読み解いたと称すればよろしいのでしょうか」
「詩を読み解くのは非常に力がいるだろう。読み解いた、と思っても、実際はそうではないことの方が圧倒的に多い。故に詩は死に通ずる。鍵はすでに揃っていることだろう。だがそれを見逃しておるのだ。それが問題なのだよ」
「ではこの詩の意味を読み解くためにはその鍵となるものが必要であると」
「最も、だ」
6が私たちに本を返してくれる。
「この詩に意味があれば、であるがな」
「意味がないのにこのようなものを書くでしょうか」
「おお、人間とは不合理な生き物であろう。合理的な考えで通らぬことのあまりに多いことか」
セリフだけを見ると嘆いているようにも思える。
だがその実、6は完全に面白がっているように見えた。
ここまでたどり着くものがようやく現れたという喜びもあるように思える。
「では意味がないと」
「意味のあるなしという決めつけこそ、最も意味がないことであろう。何はともあれ、此度は面白い趣向である。5冊の本が揃うのも時間の問題となろうな」
「5冊の本、まさか他の本も実在するというのですか」
「解は与えた。質問は自らの手で選べ。少し話空いてしまったようだ」
6はそれでも残念そうにして、扉へと戻る。
「ああそう、一つばかり言っておこうか。郁芳両名」
「如何いたしましたでしょうか」
「次はいつもの時に来る予定であるが、この度と同じようにおもしろき事があれば是非に呼びたまえ」
「御意に……」
まるで土下座をするかのように平伏し、二人とも6が扉の向こうへと消え、その扉が向こう側から鍵がかかるまでそうしていた。




