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雛型編 5
今、私はあるところに庇護を求めていた。
こんな荒唐無稽な話を信じたとある企業集合体、手野グループだ。
海外の企業グループに庇護を求めるのも嫌ではあったが、命が狙われているということであれば、そんなこと言ってられないだろう。
欧州にある手野グループの出先機関であるドイツはエアフルトにある手野繊維研究所である。
ここに向かうように指示を受け、受付を通り中に入ると、研究所にふさわしく、白衣を着た人らに出迎えられた。
「お待たせいたしました。どうぞこちらへ」
まるでバックパッカーのような風体をしている私であるが、彼らは丁重に迎えてくれた。
おそらくはもっている一冊の本のためであろうが、それでも何かしらの、とてつもない重要なものなのだということが、この扱いから分かった。
「今しばらくお待ち下さい」
通してくれた研究員がお辞儀をして部屋から出ていく。
きっと研究所の所長室だろう。
そんな部屋へと通され、私は誰かが来るまで待たされることとなった。




