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神父と悪魔編33
「この御方は……」
私は静かに、声が届く距離にいる貞信さんに声をかける。
「我らの世界とは隔絶されたところに住まわれる者。人は神とも呼び、悪魔とも呼び、天使とも呼ぶ。私達は、6と呼んでおります」
「いろいろな名で呼ばれておるが、そのうちの一つと考えてもらえれば良い」
果たして本当に6なのかどうかは、私にはまだ理解ができない。
ただ、普通とは異なる状態での出現に、やはり何か違うということは間違いないと感じ取れていた。
「さて、紹介はこれぐらいで十分であろう。して、何用かな」
彼が私へと向き、今回の用事について尋ねてきた。
「この本についてです」
私は懐から本を取り出し、彼へと手渡す。
少しだけためらわれたので、横にいる定信さんへと目配せをすると、うなづいてくれたので安心した。




