神父と悪魔編 3
外にいる少年を表玄関へ誘導したうえで、悪魔は30代後半の男性の姿へと変わり、私はいつもの服装で少年を迎える。
「さて、このような夜中に、どのような要件ですか」
「神父様、今日、僕が眠っていると悪魔がやってきて、ささやき続けるのです」
悪魔という単語を聞いて、私の横に立っている悪魔が興味を示した。
「ふむ、どのようなささやきでしたか」
「計画は動く、成就する。ハレルヤ、我が主を崇めよ。と」
それはおかしな話だ。
悪魔は、天使と悪魔と言う魂に本来込められている2つの力によって存在している。
天使は神に仕えるため、神をたたえるハレルヤという言葉を使えるが、悪魔はそうではないため、その単語を話すことはできない。
現に、私の横の悪魔はそのようなことを言うことはできない。
「それは天使ではないのですか」
私は少年に聞いてみたが、首を横に振った。
「いいえ、間違いなく悪魔です。天使ではありません」
だとすると、何かがおかしいということになってくる。
何がおかしいのか、それはここでは分からないが、この世界のバランスが崩れ出しているということは、どうも間違いなさそうだ。
少年から一通りの説明を受けると、聖水を与え、次にはこれを相手に掛けなさいという助言と共に家へと帰した。
「…先ほどの話、どう思う」
私は悪魔に聞いてみる。
「悪魔がその単語を言うとは到底思えねえ。だが、あの少年が嘘をついているということも、考えられねえな。とすれば、一つの結論に達するわけだ」
「そうだな、どうも同じことを考えているようだ」
苦笑いをしながら、私は悪魔に告げた。
「天使と悪魔のバランスが崩れているということは、何かしらの災害が起きることは間違いないだろう。とすれば、そのための準備が必要だ。手伝ってくれるかね」
「しょうがないだろうな、俺だって、死ぬのはごめんだ」
悪魔はそう言って、私の横で笑っていた。




