プロローグ
古代より続いていた、神が定めた計画は、全人類誰にも知られずに進んでいた。
その予定計画は、預言者による言葉として、世界中に触れられていたが、それらは、進捗状態によってたびたび変更されていた。
最新の計画は、2714年に誕生した、比較的新しい新興宗教の一つであるガムゼッタ教である。
彼らが伝えている書物「伝聞書」によれば、今の世の中は、新しい1000年期が始まった年に、変革を迎えるという。
この変革は、今なお行われているとされ、それらに適応するように、人類は進化をしなければならないとされている。
そして、今年が3001年。
6月までは何事もなく過ぎていた。
6月5日、高校に通っている2人がバンに拉致される事件が発生。
現在のところ、行方不明。
翌日ローマは、悪魔が出現したことを宣言し、拉致したのは悪魔の手先の仕業だと大々的に言いふらした。
だが1週間もすると、そんなニュースは忘れていった。
8月も終わりになった頃、極東の島国で、脳を限界まで使用することができる装置を開発したと公表。
天才が量産され、近い将来には、学校などの教育機関は消えるだろうと、マスコミは日々煽った。
ネットの掲示板には、とある高校で悪魔を退治したという都市伝説が書き込まれ出した。
これらにはなんら関連性がないように見えるが、神から見れば、ようやく計画が本格的に始動できるとホッとしていた。
「やっとか…」
神と思われるその人は、雲の間に作られた、金で豪華に縁どられている玉座に座り、この世とは思えない色彩をしている王冠を頭につけている。
白い羽根を背から出している天使が二人ほど、神の玉座の前にひざまずいている。
「神よ、準備は整っております。いつでも我らに命じてください」
「ジブリール、お主の出番はまだだ。まだその時期ではない。ミハイルよ、お主は神父に急ぎ知らせよ。計画は常に実行されると」
「分かりました。すぐに伝えに行きます」
ミハイルは、神に一礼してから立ち上がり、くるりと後ろに向き変えると、羽をはばたかせ、一瞬に見えなくなった。
「ジブリールよ、お主にも命ずる。これ以上の変更は、することはないぞ。他の世界の神へ連絡を行い、我らの計画を実行に移すと」
「承知しました」
ジブリールも、ミハイルと同じように、瞬時に神の御前からいなくなった。
神は玉座により深く座り直し、ゆっくりと息を吐いた。
その息は、地上へと広がってゆき、誰もが感じた。
何かが起こると。