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なんでもできる無敵の女帝様と、愉快な仲間たち~猫パレードと空飛ぶ夢

作者: 桐谷アキラ

 「はい、全員そろった? 今日もバーチャル宮殿会議、スタートするよー」


 ディスコードの通知音がリズミカルに鳴る。

 画面には、白と淡いブルーの軍服ワンピに、透明感のある青いショートボブヘア。“女帝様”と呼ばれるVTuberがふわりと笑うと、場の空気が一気に明るくなる。



 彼女――南野結衣(VTuber名:女帝様)は、普段は地味な会社員だなんて、きっと誰も信じない。

 だけどバーチャル空間では、どんな夢でも実現しちゃう、と噂される不思議な包容力と決断力の持ち主。

 事務所の垣根も超えて集まったメンバーたち――ノア、サクラ、みやび、それに技術屋の真壁さんや裏方スタッフまで。今夜もわいわい、笑い声とキラキラがあふれている。


「みんな、例の“ワールド丸ごと自作フェス”、準備どう?進捗どう?」


「BGM、うちの妹が歌ってくれるって!」

「新衣装デザイン、夜なべで仕上げてきました~!」

「ステージ演出、3Dで派手にいけそう。……ただ、スクリプトが謎エラー出てて」


「また爆発したの? 技術班あるあるだね~」


 会議チャットはもう、バーチャル文化祭の前夜みたいな熱気。

 “みんな自分たちでやり切りたい”――そんな想いが画面越しにも伝わってくる。

 

「どうしても困った時は女帝様手伝って!」


 ノアが冗談めかして言うと、


「それは最終手段だよ、みんなが本気で挑んでくれるのが一番うれしい」


 女帝様はちょっとだけいたずらっぽく微笑む。

 

 実は、この女帝様。資産もコネも技術も一流で、“本気を出せば、どんな無茶も全部叶えてしまう”と言われている。でも、それに頼りきるのではなく、自分たちの力で前に進む仲間を、彼女は誰より誇りに思っている。


「じゃあ、今日はトラブル対応会議だね」

「お題:機材の遅延と、ワールド内で猫が無限増殖してる現象について!」

「昨日から猫カフェ状態だよ~!」

「猫が踊ってる!バグなのに可愛い!」


 みやびが思わず吹き出す。


「じゃあ逆に、そのバグ生かして“猫祭りパレード”にしちゃおうよ!」

「なにそれ、幸せか……名案すぎる……!」


 みんなのアイデアがどんどん転がって、会議チャットはスタンプと絵文字で溢れていく。


「機材の配送、物流ストップか……」


 IT部門の真壁さんが難しい顔。


「こういう時、結衣さんなら電話一本で解決できちゃうんでしょ?」

「うーん、でもそれだと普通の“奇跡”で終わっちゃうから。

 せっかくだから何か面白い案、みんなで考えてみよう?」


「じゃあ、代わりにリモートで合成できる特設セットを組もう!」

「素材集めは私がまとめるね!」

「SNSで“みんなの部屋”写真募るのも楽しそう!」


 どんなピンチも“遊び心”で突破してしまう仲間たち。

 女帝様は、そのひとつひとつに丁寧にリアクションしつつ、ときどき的確なヒントや裏ワザをさりげなく落としていく。


 会議も終盤、結衣が静かに言う。


「夢って、きっと一人で叶えるものじゃなくて――

 誰かと一緒に作るものなんだよね。

 それに、どうせなら“ありえないスケール”で遊びたいし」


 その一言のあと、Discordの告知チャンネルに不意打ちの通知。


 【女帝様から緊急アナウンス】

 “会場に“空飛ぶ猫パレード”用の公式ギミック、明日実装予定!”

 “そして、配送トラブルは技術チーム有志によるワールド拡張案で全対応へ”


「やっぱり女帝様、規格外……!」

「ありがとー!でも次は自分たちで絶対もっとすごいのやるからね!」


 女帝様は、やさしく微笑んで画面越しにみんなに拍手。


 会議が終わり、

 各自ログアウトしたあとも、女帝様は夜のバーチャル宮殿にひとり残る。


 「みんなが本気で夢を追う姿、見てるだけで一番ワクワクするんだよね……」


 カップを片手に、ふっと嬉しそうに独り言。

ライトブルーファンド~億り人はVTuberの短編エピソードです。

https://ncode.syosetu.com/n1029ks/


もしご興味がありましたら本編も見て頂けると、とてもとてもうれしいです。

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