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第7話 盗賊の村は布教活動の拠点

 檻に閉じ込められていたモンスター達に優しく声をかける。

 どうやらスライムが3体、ゴブリンが5体、オークが5体と言ったところだった。

 どれも子供のようだった。

 彼等はとても怯えていた。


「大丈夫だよ、俺は人間だけどモンスターの言葉を理解する事が出来るからね」


 モンスターの子供達がこくりと頷いてくれた。

 後ろからころころとブラックスライムがやってくる。


「かたじけない、この御恩は何で返せばいいだろうか、スライムの同胞まででもなくゴブリンやオークまで守っていただいた」


「なら、デルファルドさん、俺の信者になりませんか?」


「はて、信者とは? つまり君が教祖という事かな?」


「そうです、俺は邪教スキルを覚えています。光のようなもので属性やエレメンタルを見る事が出来ます。こうやって邪眼スキルで物を動かす事や鑑定で相手の本質を理解する事が出来る。デルファルドさんはとても優しいスライムさんですね」


「そうだな、そう言われると優しいのかもしれないが、同胞やモンスターを虐める人間達には容赦がないぞ」


「それならこの廃墟となった盗賊の村を開拓してモンスターと人間の共存出来る拠点にしていきませんか、そして教祖として俺が立ち上がるんです」


「ほう」


「この光を見る力で、お金をがっぽり稼ぐ予定ですので」


「それは頼もしい、だが、条件がある」


「なんでしょう、デルファルドさん」


「エンジェルドを見つけ次第、その相手はおいらが相手になると、説得がダメながら殺すしかないと」


「エンジェルドとは?」


 ブブリンがこほんと咳払いすると。


「この世界にはファーストという神がいて3天使がおり、ファイブドラゴンがいて、8巨人がいるんです。彼等の序列はたまに変動するんですが、この世界を支配する上の存在というかそんな存在ですね」


「なるほど、エンジェルドは名前からして3天使の1人かな?」


「そうだ。おいらが勇者であった時に共に戦い裏切られた存在だ」


 心の底から不思議と驚愕していた。

 目の前に元勇者がいて、何の因果かスライムになってしまった人間なのか?

 勇者=人間とは限らないのかもしれないのだが。


 考えれば考える程よく分からないなぁと思いつつも。


「良いでしょう、エンジェルドはあなたが相手してください」


「ふむ、それなら、ここを開拓していこう」


「ただ、俺は人間としての生活もあるので、しばらくは隠れてここに来ますね」


「よかろうて」


 デルファルドさんは子供のモンスター達を励ましている。

 

【申告 翻訳スキルが派生して超翻訳スキルになりました。効果は村や国と認識している範囲内であれば全ての生き物の言語が翻訳されて通じる事が出来ます】


「あれ、デルファルドの言葉が分かるぞ」

「これは面妖な」


「ぼくはゴブリン族のブブリン」

「おいらは元勇者のスライムデルファルドだ。勇敢なゴブリンよよろしく頼む」


 ブブリンとデルファルドが握手を交わしていた。


 とりあえず皆で自己紹介を交わした。

 子供のモンスターであり名前が無かったので、俺が教祖さながらに授けて見た。


「ハル、ナツ、アキ」


 スライム3体の名前が決まった。

 次の瞬間異変が生じる。


【申告 【名付け】を習得しました。名前の由来に反映されます】


 名前の由来通り、ハルというスライムは桜色のスライムになり、ナツというスライムは熱いイメージから来たのか、赤いスライムとなった、アキというスライムは茶色い木の葉のようなスライムとなった。


 次にゴブリン5体に名前をつけていく。


「ムキムキ、ガチガチ、カルガル、グラグラ、デコボコ」


 と名付けると、ムキムキは子供のゴブリンだったはずが大人のゴブリンのように逞しくムキムキに変貌した。ガチガチは体が石のように硬くなっていく。カルガルはガリガリのようになってしまい、体が軽く動けるようだった。グラグラはその周囲が地震のように動くという怪奇現象のゴブリンとなり、デコボコは体のあちこちがデコボコしていた。


 次にオーク5体に名前をつけていく。


「デカイ、チビッコ、カイテン、ジャンポ、シュンソク」

 

 と名付けると、デカイは体がオークの3倍はあるくらい巨体になった。

 チビッコは逆に小さくなり、カイテンは高速で体を回転させるようになった。ジャンポは足が普通の3倍になり、驚異的な足の筋力でジャンプ出来るようだ。シュンソクは気を許すと一瞬で消える程のスピードになった。


【申告 邪教エネルギーを消費したので、邪教の力が弱まります。信仰心を獲得する事で回復します。信者の幸福感が信仰心として獲得する事が出来ます】


「なるほどな、少しだけぐったりしちゃったけど、それは後の課題として、ブブリンとデルファルドさん、この村を切り盛りして欲しいんだけど、俺は一度家に帰るよ、明日にまたくる」


「この盗賊の村の名前を考えておいてくれよ」


「それはおいらも賛成だ」


「後、子供達に色々と教えてあげてくれ、問題は俺がここから離れると、超翻訳がどうなるかだけど」


【申告、ここに名前を付けると、随時、超翻訳が適応されます】


「なら、今付けるか、邪教の村にしよう」


【邪教の村に登録しました。これからスキル【マップ】により邪教の村の現在状況を把握する事が出来ます】


「そりゃー助かるな」


 俺は早速、マップを開くと、そこにはどこに何が置いてあり、そしてどこに誰がいるかも表記されていた。


「これだとプライバシーも何もないよな」


 そんな事をただ思っていた気がする。

 デルファルドさんとブブリンは邪教の村が気に入ってくれたようだ。

 ちなみにブブリンが急ごしらえで作った神殿とやらはどうなるのだろうか。

 あそこは小さな小屋っぽい所だったけど、後々活用出来るかもしれないなと思うのであった。


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