第19話 スローライフ開始
邪教の国には城と城壁がある。
トレント族のドレファンさんの結界のおかげで、周りから侵入する事は不可能とされている。
もちろん許可した人間は出入り可能だが、魔王クラス勇者クラス神クラスだと簡単に破壊可能との事。
城には沢山部屋がある。現在ベランダにて車椅子に座りながら、外の風景を眺めていた。
ここが元々は盗賊の村であり、今では、沢山の人間とモンスターが住んでいる。
スタンピートが起こったせいで、俺達とぶつかりそこねて正気に戻ったモンスターもいたので、彼等も保護した訳だ。
最初モンスター達は人間達を忌避し、人間達はモンスターを恐怖したそうだ。
だがセカンドであるライジュウさんが一生懸命説得に当たってくれたとのこと。
その時にゼフダスとセネレスも協力してくれたとの事。
後、祖父であるダフガスもいて、俺の目撃情報から簡単に信じてくれたそうだ。
沢山の人々がこの邪教の村で働いている。
ここを拠点として大きくする事で決まり、主は俺という事になった。
というかなぜか国王にさせられた。
この前の魔王ボスボスの大暴れで国王が死んだらしく、血筋は途絶えたらしい。
ので俺が国王になりました。
これは最悪だと言って良いのだろうか?
喜んでいいのだろうか?
空を覆う森、森は蔦を張り巡らして、テラスのようになっていく。
鳥とドラゴン型モンスターがそこにとまって寛いでいる。
灰色の雲はまばらにある程度でお日様が目に痛い。
手足がないと困り事だらけなのだが。
「ご飯できましたよー」
チャカルールがいつもお世話してくれている。
ゼフダスとセネレスはそれを優先させてくれて、彼等は冒険者稼業に戻っている。
ちょっと薄情な両親だと思いつつも。
チャカルールとの楽しい日々を送っている。
あれか、これがスローライフという奴なのか。
「手足の微調整が終わったから、地下訓練場に行きましょうねー」
なぜか、チャカルールの目が危なく暗闇のように光っていた。
「誕生日プレゼント大事にしてくれてるね、それはいつでも私の所に飛べるアイテムだからね」
そう、誕生日プレゼントをもらったのだが、それは身代わりの鏡ではなく、監視の鏡が正しい。
その鏡でいつでも俺は、チャカルールに居場所を見破られる。さらにチャカルールがいつでもこちらに飛べ、こちらもいつでもチャカルールに飛べる。
鏡のペンダントは俺とチャカルール両方にある訳で、
ああ、そうだ。セカンドさんの愛しい人の遺骨で出来たペンダントも作ってあげたそうだが、なぜか魔道具として製作されてしまい。
なんと魂がペンダントに宿り、いつもセカンドと会話をしている。
周りから見たら、ペンダントと会話する骸骨剣士にしか見えない訳で、少し笑っちまったよ。
車椅子で運ばれていく、ああ、そういえば、ダンジョンコアは城の庭に設置してある。
モンスターを出した時に巨大な奴が出て、また村長宅のように破壊されてはたまった物ではない。
よって外に設置するで決まったわけだ。
あれからガチャを何回か繰り返したが、レアなモンスターを当てる事が出来なかった。
出てきたのはノーマルモンスターで適当に名付けて、働かせている。
「着きましたよー」
まるで前世で精神病院に入院していた時のデジャブを感じさせる。
地下訓練場には球体状で浮いているギガントゴーレム族のクラッシャーズ1号とマシーン族の機械将軍が直立不動で立っていた。
「彼等は魔道義手義足を作るうえで研究に協力してくれたのよ」
「教祖様、この度、ご復活、お待ちしておりました。このクラッシャーズ1号のゴーレムの知識、チャカルール先生に御伝授させて頂きました」
「教祖様、この機械将軍、あなた様が死ぬのではないかと、日夜涙が止まりませんでした、機械ですから涙は出ませんですが油は出ました。わしは悲しくて悲しくて、ですが、このわし、最強の機械将軍であり、機械のなんたるかうんたらこんたら」
「分かったから、機械将軍、あなたがしゃべると爺のように止まらなくなるでしょ」
「すまない、チャカルール先生」
「これが、あなたの新しい義手と義足よ」
テーブルの上にはいつもの自分の腕が置かれてあった。
だが見るからに見た目が何かが違う。
両足もあるのだが、それはかつての俺の両足なのだが、何かが違う。
「千切れた両腕両足を修復してくっつけるのもいいけど、改造しまくっちゃた」
「おめーは人の体で何してんだよ」
「良いでしょ、せっかくやりたかったことがあったから、さてと、繋げるわよ」
「せめて、どのような改造を施したか説明してくれ」
バチンバチンという音を響かせて、両手両足が接続完了した。
「人の話を聞けえええええええええええ」
「よし、シンクロ率は99%ね、さすが、私」
「クラッシャーズ1号のデータのおかげでもありますよ、お忘れずに」
「わしの知識も忘れるなぞ」
「今の所3つの機能があるわ」
「ほう」
「①魔力吸収②魔力剣③掃除機よ」
「③はなんだああああああああああああ」
俺の思わずの突っ込みに。
「あなた掃除しないから、掃除機の機能をつけたのよ」
「ありがとう、てへ、ってなるかいいいいい」
「掃除機というのは名目ね、あなたは光が見えるでしょ」
「ああ」
「その光を吸収出来るのよ、凄いでしょ」
「その光を何に使えば良いんだよ」
「さぁ?」
「さぁじゃないいいいいい」
「あなたが考えてごらんなさいよ、光は恐らく何かだから、無限に発生すると思っていいわ、だから吸収したからと言って死ぬわけじゃないだろうしね、よくわからんけど」
「よく分からない仮説を建てるなああああ、取り合えず悪い奴等に実験してみるよ」
「そうするといいわね、もしかしたら、属性を吸収して職業みたいなの無限に奪えたりしてね、あはは」
「それはそれで恐ろしい力だな」
「さてと、両腕両足がある気分はどうかしら?」
「とてもいい気分だ、感触もそのまんまだしな」
とか言いながら、俺はチャカルールの胸をもんでいたわけで。
「きやああああああああああああああ」
顔面をぶん殴られて、10メートル吹き飛びました。
「強くなってね?」
「どこさわってんのよおおおおおお」
とか言いながら、顔面を何度も殴られる。
てかこちら一応怪我人よおおおおお。
「ぜいぜい」
「なんか心が燃え尽きそう」
「後足の機能なんだけど、そっちは色々失敗したから使いながら覚えてね」
「その情報最悪なんですけど」
チャカルールは胸を張って威張り散らしている。
クラッシャーズ1号はふわふわと浮かびながら、機械将軍は直立不動のまま。
「色々と挨拶を終わらせちまおっと」
地下訓練場、今は研究所のような姿になり果てている。
多種多様なマネキンが設置されている。
剣やら斧やら槍やらが設置されており。
静けさの中2人のゴーレムとマシーンはただそこにいるだけであった。
「じゃあ、行ってらっしゃい、これから2人と議論を重ねるのよ」
「チャカルール先生は手厳しいですからなぁ」
「さぞや最高なわしの備忘録になりそうじゃて」
「ほどほどにな」
そうして俺は、階段を新しい足で登り始めた。




