メイドのリゼとお風呂に入る
俺はリゼとの訓練を終わらせたあと、自分の身体中が汗でびしょ濡れになっていることに気が付いた。
「お風呂に入りたいかもな」
「そうですね。エドワード様。今日は熱心に訓練をされました。お身体を綺麗にして、それから夕食を召し上がりましょう」
「ああ。そうしよう」
俺はそう言うと、自室に戻り、着替えとタオルを持って風呂場へと向かった。
大理石の地面で作られた風呂は、とても広く、まるで銭湯のようだった。
そして、人魚やらを象った銅像からお湯が噴出しており、如何にも貴族にふさわしい豪勢な作りになっている。
風呂のお湯を桶ですくい、まず軽く汗を流した後に、そのまま浴槽へと身体を沈める。
すると、お湯が気持ちよく溢れ出る音と共に、心地よい水温が身体を包み込み、訓練の疲れを癒してくれる。
「ああ、気持ちいい」
俺はそのまま目をつむり、お湯で顔を洗いながら、今日のことを振り返る。
「まさか……本当にゲームの世界に転生してしまうなんてな」
そう呟くと、俺は改めて自分の置かれた状況の深刻さを認識する。
「何はともあれ、まず最初の目標は、エドワードを民の反乱から生き延びさせることだな」
この世界は、ゲームのシナリオ通りに行けば、必ずエドワードが民の反乱から生き延びることが出来ない。
「しかし……どうやって生き延びさせるか」
そんなことを考えていると、風呂場の扉が開き、誰かが入ってきた。
「誰だ!?」
俺は慌てて振り返ると、そこにはタオルで身体を隠しているリゼの姿があった。
その身体は、白く透き通っており、とても美しい。
「な……何をしているんだ!?」
俺が慌てていると、リゼは俺に近づいてくる。
「お背中を流そうと思いまして」
そういうと、俺の後ろに座り、そしてタオルに石鹸を泡立て始めた。
「いや……しかし……」
俺が戸惑っていると、リゼは俺に話しかけてくる。
「エドワード様。あまり遠慮なさらないでください」
そして、俺を椅子に座らせると、そのまま俺の背中を洗い始めた。
その優しい手つきはとても心地よくて、思わず力が抜けてしまうほどだった。
そして、このままだと、男性的な本能の部分が刺激されてしまい、非常にまずいことになってしまうと、俺は思った。
俺は不意に立ち上がり、お湯をすくうと、頭からかぶった。
「ああ、さっぱりした!ありがとう。リゼ!」
俺はそう言って振り向くと、あることに気が付いた。
リゼの身体に、何かミミズ腫れというか、何かに打たれたような傷が無数にあるのだ。
「これは……」
俺が驚いて、その傷に触れると、リゼはその手を払いのける。
「止めてください。エドワード様。これは何でもありません」
その表情は悲しげだった。俺は、何か触れてはいけない部分に触れてしまったと感じ、慌てて謝る。
「すまない……その……」
俺が言葉に詰まっていると、リゼは立ち上がり、そして扉に向かう。
「では、失礼します」
そしてそのまま風呂場から出て行った。
俺はその後ろ姿を見ながら、リゼの傷について考えていた。