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~プロローグ~転生の前日譚


「るんるん~♪」


 1人の少女が歩いている。

彼女の名前は鏡月(きょうげつ)氷華ひょうか。ちょっとした画家だ。

彼女は美術学校を卒業して、画家として就職でき、順風満帆と言える日々を送っていた。

今はその卒業と就職祝いを家族とする、ということで実家に帰っているところだった。


「ここが明日で~あちらが今日~♪。っと、この景色ともおさらばか~。けっこう好きだったんだけど、仕事もあるし仕方ないよね」


 橋の上で呟く。

彼女の言う通り、彼女自信が育った町には思い入れがある。今立っている橋が架かっている川、"カコ"と呼ばれる国内最大級の河川はよく書く絵画の題材にもしていた。


「まだ時間はあるし、ちょっと河川敷でゆっくりしながら何か書くか。ちょっと趣向を変えて、ファンタジー系で"運命の境目"ってのはどうだろう。それでいこう。」


 中央に思いきって線を引く。左側はまだ昼間であり、右側は夕焼けを描写する。太陽を半分に分けて、左側は昼間を表すように上のほうに。左側は夕焼けを示すように地面に近いところに。その境目を跨ぐようにキャラクターを入れる。それだけだと味気ないので、橋の歩道を歩いている風に書く。車とかも描写できたら良いんだけど、大きさ的に無理なので割愛。


 少し風が冷たい。季節的にはそろそろ春かというところで、まだまだ冬の寒さが残っている状態だ。今更思うけど、よくこの状況で絵を書こうと思ったよね。まぁいっか!厚着して防寒はばっちりだしもっと書いてから帰ろう。えーと、左は鳥を飛ばして、右はカラスを3匹。ん?特に意味はないよ。なんとなくあったほうが良いかな~って。


 夕焼けの太陽に叢雲をかけてみる。微妙なので却下。やはり、背景は少し曇り気味で夕日を雲が反射しているような感じがいいかな?。左は雲はほとんどない晴天にしよう。少しだーけ雲が薄く見えるように書いてみる。

 今思い出したのだが、絵を書き始める前は晴天だったな。何か変わるわけではないけど、そんなことを思い出す。


 思い立ったら書き記す。それは氷華の昔からの癖であり、日記や小説なんかも書いたこともあった。黒歴史の海に沈めたらしいけれど(苦笑。


「気まぐれって怖いよね。もう1時間経過してる。まだ時間はあるし、ラフを消して線画にしていくか!」


 今の天気は少し曇り始めてきた。雨は降りそうにないので、そのまま書き続ける。雨が降っても、折り畳み式を携帯してるから問題nothing。

 線画を書いていくついでに、背景に建物等も追加していくことにする。あと、橋があるわけだから、川も書いていくよ。夕焼けのほうは、川に太陽を反射させるのはセオリーだよね!水面の反射があるのと無いのとで結構変わるんだよ。そもそも反射が書かれてないのは初心者の絵だよ。多分!


「るんるん~♪」


 その後も集中する。中々終わる気配が無い。そろそろカラスの声が聞こえてきた。


「はっ?!時間は?!もうこんな時間?ってうわっ、雨降らなさそうだったのに、急に降ってきたよ?!傘、傘はどこじゃ、あったあった。よし、一段落したし実家に帰るか!時間的にも良さそうだし、歩いていこう。」


 "運命の境目"は既に書き過ぎた。



~~~~~




「ハァ…しんどい。雨が降ると頭が痛い。低血圧には辛いよ。うぅ…しんどい。」


 夕焼けの雨の中を歩くこと十分、元々病弱気味な氷華にとって、雨の日というのは最悪の日でもあった。さらに歩くこと十分。


「ハァ…やっと家だ。お迎え呼んだほうが良かったかな…。ってあれ?なんでドア開けて放置されてるの?」


 雨足の強くなる中、実家にたどり着く。しかし、玄関ドアが開けたまま放置されており、家の電気が全部消えついていない。出掛けてる様子は無く、その情景から不気味な様相となっている。


「車はあるし、出掛けてる様子は無い、というか開けたまま出掛けるわけないし、まさか誰か殺人鬼にでも入られた?まさかね。」


 最悪な事態が頭を過るが、そんなことはないだろうと一蹴する。いや、一蹴できないでいた。


(まさか、ね。入ってみないことにはわからないし、とりあえず)

そう考え事をしながらも、傘を折り畳みながら、玄関に入り、告げる。

「ただいま~」


 返事が無い。さらに恐怖を煽る。


(ほんとにやめてよね…あるわけないじゃんそうなこと、転生系小説でも無いんだし、返事くらいしてくれてもいいじゃん。まさかそういうドッキリ?)


 そんなことを思いながら、

慎重にリビングのドアを開ける。


「え?」


 目の前に広がるのは家族の死体。血痕が新しいことから、今日殺されたことは明白だろう。では一体誰が?何のために?そんなことを考える余裕は氷華には無かった。


 まだ犯人がいるかもしれない、咄嗟にそう思い、リビングのドアを閉めようとする。その瞬間、何かがぶつかった感覚があり、振り向く。


「なっ?!」


 そこからは一瞬だった。

まず目に入ったのは犯人の顔。そしてナイフ。返り血に染まった服。

 その人物は、氷華も良く知る人物だった。なにせ彼氏の家に行った際に良く見る、彼の父親とそっくりの顔で…

 そんなことを考えているうちに


「ガフッ」


 明らかにナイフが刺さった所は、人体の急所。ナイフで刺されれば、間違いなく死は免れ得ない場所だ。

 急激に体温が低くなる感覚がした。体に力が入らなくなり倒れる。貧血の症状に近いだろう。


「さて、証拠は隠滅しなければな。」


 そういって、油を撒く。それを氷華は黙って見つめる。ことはしなかった。男が机にナイフを置いたのを見逃さず、そのナイフ奪い、男に襲い掛かかる。狙い違わず急所につきささる。


「ぐあっ、貴様!」


「貧弱体質だし…ハァ、もう動けないだろう…と思った相手に、ハァ…共倒れに持ち込まれる…気分は…いかが?」


 そのまま、男ごと倒れ混む。力が入らず、何もすることができない。男がナイフを取り返して、滅多刺しにしてくるが、氷華は既に感覚が無いため一時の苦は免れたと言える。


(異世界転移…の定番…か。ははは、面白いじゃん。……いや面白くなんかない!家に帰ったら、リビングで家族が死んでて?実は犯人はまだいて殺されてしまうって?ふざけるな!。……。起こってしまった…ことは仕方ないから、ただじゃあ私は死なないよ!一緒に共倒れといこうか!家を焼こうってか?させないよ!させるわけないでしょうが!死に際の光景が火事とか最悪なんだよ!夢に出てきたらどうするんだ!いや死にそうだし、夢なんて見れるわけ…。とりあえずナイフ、取って…ここ!。凄く体が重いし、もう動かない。頭は、冴えてるの…に体が動かない。なんかナイフで…また刺して…きてる…痛くはない…んだよね。…不思議な感覚…そういや咄嗟に…警察に通報…してたんだよね…来て…くれる…かな?あ、…ヤバイ…寒い…前が見えない…はは…まさか、異世界転生の定番とか…ほんとに笑えない…転生なんてあるわけないじゃん…こんなとこで…死にたくなんて。まだ…やりたい…こと…あった…の……に………)


「ふ…ざ…け…ん……じゃ…………な…」






~~~~~~~



??「父さん、自業自得だからね。俺の思いも尊重せずに。絶対に許さないから。」



ーーーーーーーーーーーーーーー






 iで…おいで。そう、こっちへおいで、そうそう良い子だ。いらっしゃい。メッジワールへ。




???「いきなり主人公殺すのは転生系によくあるくだりだよな?」

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