97話 All Daylight
剣術を作った?
新たな流派を?
「面白いな!見せてみよ!」
「うーん、どしよっかな。会得してから色々試してはいたんだけどさ。あるダンジョンでね。こっちの世界で使って大丈夫かな。」
どう言う事だ?それ程の破壊力があると?
「ヌシの張ったこの結界を吹き飛ばすレベルか?」
「んー、結界って言うか・・・世界?」
は?
「そのダンジョンってさ、魔力使えないんだ。ディスペア流って魔力に依存した所あるでしょ?さっきカイネも使ってたあんな技とかさ。だから限界感じてね。新たな術を生み出したんだ。で、この剣術の凄いところはさ、魔力を一切必要としないわけ!いやあ、ホントに魔力無しで空間をサクッと切り裂くからね。マジ半端ないんだから!」
楽しそうに語るアル。魔力を使わず空間を?ハッタリだ・・・。
と、一笑に付すのはアルを知らない雑魚だけだ。アルが出来ると言うなら出来るのだろう。
「名は?」
「ん?ああ、流派の名前ね。・・・そうだなあ・・・。」
まだ名付けていないのか?
「アル・ディライトだから・・・うん、オール・デイライトでいいかな。」
全ての光・・・ディスペア流深淵の闇に対するカウンターか?
「てかさ、生みの親はアタシじゃないんだけどね。アルってやっぱり天才だわ!」
何を・・・まるでもう一人・・・
「あのダンジョンでアルはアタシと統合しようとしてたみたいなんだけどアタシが拒否したんだ。だってもともとこの体はアルの物だし、何よりアタシが彼を必要としてる。」
統合?人格が・・・・・・。
「あーごめん。話しすぎた。今変わるね。」
何?変わるだと?その人格に、か?
「待てまだ話の途中」
アルの気配が変わる。・・・なるほど。
「・・・ふー、まったく、アイツめやりたい放題だな。」
「・・・あなた、アル・ディライト?」
「ああ、そのようだな。年寄りはゆっくり眠りたいんだがね。彼女がそうさせてくれないんだ。」
「愛されてるのう。」
「ふふふ、犬猫に注ぐものと大差ないと思うがね。」
そうかしら。
「さっき彼女の言っていた事は本当か?新しい流派を作ったと言っておったぞ?」
「ふう、そんな事まで話したのか。やれやれ。・・・流派か。そんな大層なものでは無いよ。死ぬのが嫌で死線をかいくぐって足掻いていたら使えるようになっていただけさ。」
「ヌシがそこまで追い込まれるとは、興味深いのう。」
「話そうか?私の冒険譚を。」
「是非、・・・と言いたい所だけど今は時間が惜しい。」
「そうか。で、どうする。続けるのかね?」
「勿論、せっかくラスボスを引っ張り出したんじゃ、楽しまないわけには行くまいて。」
「では、少し指南して上げよう。」
「オール・デイライトだったか?楽しみじゃの。」
「あのじゃじゃ馬め、自らの名を冠するとはな。こそばゆいったらないな。さて、ではさわり程度になるが、とその前に、フェニー。」
握っていた剣が鳥へと変わる。
「アルル様。」
翼で顔を隠しかしずく鳥。
「無茶をさせて済まなかったな。」
「アルル様のお役に立てたのなら光栄でございます。」
「ああ、十分役に立ったよ。ありがとう。巣におかえり。」
柔らかい笑み。先程の娘とは偉い違いよの。鳥が感極まって泣いている・・・。
「ハッ!失礼いたします!」
ぽわん。
「お待たせ、では始めようか。」
空手だと?・・・
いいだろう。ここからは私も本気だ。虎穴に入らずんば虎子を得ず。久しぶりじゃのう、死線に踏み入るのは。
「 流星 」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
─────────────────
side キース
「アルのやつフェニーを手放しやがった。あのメス猫を素手で抑えるつもりか!?無謀だ!」
それに少し前からアルの様子がおかしい。
一体どうなってやがる!
「 流星 」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
メス猫の攻撃。すげえ連撃だ。ムカつくが俺には知覚すら出来ねえ。
アルは?見える、一歩も動いていない!?ならなぜ攻撃が当たらねえ?
幻惑か何かを仕掛けた気配はねえし、マジで意味分かんねえぞ!
「 流星堕とし! 」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
あの技は範囲攻撃か!?アルの周辺の地形が消し飛び形を変える。
「いやいや!おかしいだろ!マジでアルは動いてねえ。!ならアルの足元のデカいクレーターはいつ出来た?」
攻撃を打ち尽くしたメス猫がアルの元へと歩いていく。何をする気だ?
あいつマジか・・・。アルを触って確認してるぞ。刀を鞘に収めて・・・抜刀術!
切れて無い・・・。
「なぜじゃ!?」
大分イラついてるな・・・。
ゆっくりと刀をアルの喉元へ。ゆっくりゆっくり。避けられないように慎重に慎重に・・・。あっ、避けられた。そりゃあんなに遅けりゃ避けんだろ・・・。何やってんだ(呆れ)。
「避けるな!」
アイツ何言ってんだ?
「遊びは終いじゃ!ヌシが動かぬなら動かすまでよ!」
刀をしまいまた抜刀術の構え。
ズオッ
かはっ、な、なんて魔力だ、結界を抜けて半端じゃねえ魔力が渦巻いてやがる。それにあの刀に纏わせた魔装の密度。このダンジョン持つのか!?
メス猫の周囲が歪む。空間に干渉するレベルの溜めだ。アレを解き放ったら・・・
クソがあ!結界張らねえと!
「不要。見ていなさい。」
アルから念話!?手を出すなってマジか!?
既にアルの張った結界が消えそうなんだが!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
メス猫から凄まじいプレッシャー!来るぞ!!
「 永久の劫火!! (とこしえのごうか)」
ゴウッ!!
閃光が走る。
パアアアアアアアアアアアン!
何だ眩しっ!くそっ!どうなった!?
メス猫の技は発動しなかったのか!?
光が収まると・・・そこには
はああああああ!?ウッソだろ!おい!
こんな事が・・・あるのか・・・。
すげぇ・・・




