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絶望の果て  作者: 馨
92/103

92話 Desperate

─── 龍の巣 3層 ───


鳥に乗って小一時間程走るとボス部屋へ到着する。扉を開けると、うん、知ってた。


「お待ちしておりました。新たなる王よ。」

跪き忠誠の意を示すゴブリンキングとその配下の者たち。

そうなるよね。


「苦しゅうない面をあげよ。」

なんて言ってみたり。


「ハハーッ!魔王様におかれましては本日も大変お美しく・・・」

モンスターが小娘に媚びへつらう図はシュールだね。言うて前魔王だって女の子なわけだし一緒か。

キースが腹抱えて笑ってるよ。


「いいよいいよ、そんな気を使わなくても、癒しMAXリラックス〜。」

魔力注入。


「おお、力が漲って来る!それに慈しみに満ちたこの暖かさ。これが魔王様の・・・うっ」

涙ぐんじゃってるけど、


「どしたん?」


「いえ、旧魔王のシス様は、そ、その、大変厳しいお方だったので・・・。あなた様はその真逆で慈愛に満ちていると言うか・・・。」

へえ、そうなんだ以外。無邪気で奔放なイメージだけど。


「あいつ、気に触る事があるとすぐ癇癪おこして周りに当たり散らしてからなあ。」

あー、納得。


「そうなのです。私も幾度となく殺され掛けました・・・うっ。」

トラウマになってんじゃん!キース笑っちゃダメ!


「そっかー、大変だったね。彼女に会ったらキツく言っとくよ。」


「へ?あ、あの!?シス様は、まだ生きておられるのですか!?」


「うん、生きてるよ!配下の者をいたわれって説教しとくから安心してね。」


「ふあああああああ!?や、やめえええ、言わないで!下さあああい!」


「大丈夫、文句言って来たらアタシがシメるから。」


「い、いや、しかし、うっ!胃が・・・。」

胃の調子が悪いのかな?キース爆笑してるけど何が面白いんだ?


「あ、アルル君、このゴブリンキングはこの層のボスだよな?これは勝った事になるんだろうか?」

ああ、攻略か。忘れてた。

たしか角を持ち帰ればいいんだっけ?

スパン

頭の角を切って委員長に渡す。角は瞬時に再生。


「ホイ、これで良いんだよね?」


「あ、ああ、色々ツッコミたいが、もうどうでもいいよ。」

「これが強者の攻略法なのか・・・凄い!」


「じゃあスタート付近に転移させるから、あっ、私とキースは残るから適当に誤魔化しといて。」


「はっ!?残るって、先に進むつもりか!?」


「そだよ、最下層まで完全攻略だぜ。ブイ!」

ピースサイン。


「はは、もう好きにしてくれ。」

項垂れる委員長。

「アルル様!色々とありがとうございました!アルル様なら大丈夫だと思いますが、お気をつけて!」


「アルルでいいよ。オードリーと仲良くね。」


「ハッ!」

ビシッと敬礼するロバートくん。


2人を転移する。


「じゃあ、先進もっか。」


「ああ、また下層まで転移するのか?」


「うーん・・・とりあえず10層かな。彼女が待ってる。」


「?」


ふふ。転移。



─── 龍の巣 2層 ───


side オードリー


あっという間に2層に来ちゃった!流石、連合のナンバー2だわ。今日中に3層までクリア出来るんじゃない?

殆どのチームが連合の後に付けている。戦線は200メートルを超えている。私たちは中央よりやや後ろに付けている。


「ただ歩いてるだけで課題クリアとか最高じゃね?」

「ホント、ヨハン様々だわあw」

「終わったら打ち上げしようぜ!酒飲みまくるわw」

「いいけどさー、また店の中で暴れないでよー?」

ぎゃははははははは


メンバーはもうクリア後の話をしてる。呑気なものね。・・・私も一緒か。気が抜けている。

この状況じゃあねぇ。はぁ、ロバートたちはちゃんと出発したのかしら。私もあっちに入りたかったなあ。


ズドオオオオン!

何!?前の方で爆発音。赤く染まる空間。


「今の音何!?」

前を行く知り合いに念話。


「分かんないけど・・・前の方が爆発して白コートの人たちが吹っ飛ばされて・・・っ!きゃあああ」

念話が切れた。


ドオオオオオン!

また轟音が鳴った!何、あれ・・・。人が、壁や天井に叩きつけられて・・・死・・・。


ヤバいヤバいどうしようどうしよう

みんなパニックになって逃げ惑ってる。


「お、おい!何だよあれ!」

仮面を付けた大男が生徒をなぎ倒しながら向かって来る。



挿絵(By みてみん)



生徒も攻撃魔法を放っているがまるで効いていない。


「ヨハンの奴何してんだよ!やられちまったのか!クッソ!」

ヨハンくんが破れたのなら私たちの負けは確定だ。逃げるしか・・・。


「何なのよこれえええ!」

女生徒が叫ぶ。何!?


「転移が、出来ない!?」

うそ!?障壁は何もないんじゃなかったの!?非常事態に備えて生徒には転移の指輪が配布されている。魔力を込めればダンジョンの外へ飛べるのだ。


「本当だ・・・。」

指輪が発動しない。転移阻害なんて高等障壁いつの間に張ったの!?


「うわあああああああ!」

飛行魔法で逃げようとする生徒・・・に、仮面の男の投げた大岩が当たり壁に激突する。血が・・・うっぷ・・・。

1人も逃がす気はないという事か。


「どうやったって逃げられない!攻撃魔法を撃てえええ!」

白コートの男が叫ぶ。周囲から魔法が放たれる。私も自身最強魔法を放つ!

生徒たちの魔法は全て着弾するも・・・


ドガァ!

まるで効いていない。また生徒が殴られ壁に叩きつけられた。


「終わりだ・・・もう、駄目だ。」

「クッソ!こんな穴蔵で死にたくねえよ!」

「うわああああああん!」

周りは阿鼻叫喚と化している。


「ちくしょおおお!俺だけは生き延びてやる!インビジブル!」

近くにいたチームメンバーの姿が消える。直後、


ズバァン!ドゴォ!

仮面の大男に叩かれ壁に激突。透明化の効果は消え血まみれの男が現れる。


「きゃあああああああ!」

目の前に迫る敵・・・終わりだ。巨大な右腕を振りかぶる。

嫌だ・・・まだ死にたくないよ。


助けて、ロバート・・・助けて、


「助けて!アルル!!」



ズガガガガガアアアアン


「やれやれ、障壁のせいで余計な時間食っちまったぜ。コイツら死んでないよな?」


ふぇ!?目の前にいた大男が消えた!?ち、違う遠くに吹き飛ばされてる!?体には無数の矢が刺さって、


「あのガキ魔王になったとたん人使い荒くなって・・・ムカつく。」



挿絵(By みてみん)



声の方向に振り返ると黒装束の女性が浮いている。周りには・・・矢?


「レティシアよう、姫様に頼られて本当は嬉しくて嬉しくて堪らないんだろ?匂いでわかるぜ、ククク」

隣にいるのは白い毛の虎の獣人。


「は?虎ぁ、今何つった?」

凄い殺気。


「へっ、何も言ってねえよ。それより任務はまだ終わってねえみたいだぞ。」

前を睨みつける虎さん。


えっ?見ると仮面の大男が立ち上がっている!あれだけの矢を受けて。


「ちっ、再生能力か。面倒だな。」

矢の女性、レティシア?さんが呟く。


「なあに、魔力尽きるまでぶん殴るだけよ。ククク」

虎さんが獰猛な笑みを浮かべる。


「おい!女!周りの者を連れて後方へ下がれ!巻き添えを食って死なれたらたまらんからな。・・・何を呆けてる。サッサと行動に移せ!」

虎さんが私に向かって叫ぶ。怖い。


「は、はい!」

動ける者には声を掛け、負傷者にはヒールを掛ける。


今私に出来る事を全力でするんだ!


絶対に諦めない!




side ヨハン


「くっ!」

ドオオオオオン!ドオオオオオン!

向かってくる魔力弾を剣で弾く。


まさか、あの女がこれ程の強者だったとは!

俺をあのダンジョンへ連れていった女、胡散臭い奴だとは思ってたけど、次の日に戦う事になるとはな。


「ほらほらー、躱すのがキツくなって来たんじゃない。あはははは!」

笑いながら高密度の魔力弾を連発してくる逸らすだけでも魔力がガンガン減っていく。

このままだと削られて終わる。勝てない迄も一矢報いてえ。何としてでも懐に入り込む!


迫る魔力弾を逸らさず片っ端から両断!

その場で大爆発を起こす。目眩しだ。そしてあの女の後方に転移。


「ブレイブ・ソウル!」

神速の斬撃!


キイイイイイイイン!

弾かれた!?・・・尻尾だ!


バチーン!

顔を尻尾で叩かれる。

「グハァ!」

重すぎる一撃。壁面に叩きつけられる。


たった一撃でこのザマかよ。

「ちくしょう・・・」


「もろいなあ。今楽にしてあげる。」

女の両手に有り得ない魔力が宿る。

くそ・・・指1本動かせねえ・・・。

総長・・・


ガキイイイイイン!

「かあ!重てえなあ!」


何だ、まだ生きてる・・・。犬?の獣人が女の攻撃を受けたようだ。


「あなたが次の相手?」


「いや、俺には荷が重すぎる。お嬢さん、あんたの相手は・・・。」


キィィィィン!

「私だ。」

男の剣が女の腕に当たり高音が響く。


「アハッ!龍神かよ!フェリドとか言ったっけ?」


「お嬢さん、私の名前を知っているのかね。」



挿絵(By みてみん)



龍神・・・発する気配が半端ねえ。


「別にー、チラッと耳に入っただけよ。それより私の名前はシトリー。覚えておきなさい。あなたを滅ぼす者の名よ。」


「そうかい、それより古巣で暴れられるのは不快だ。拘束させてもらうとしよう。」


「フフ、あなたに私が止められるのかしら?」


「止めてみせるさ。それが我が主の望みなのだから。」


「あらあら、ヨダレ垂らして飼い主に尻尾振って、無様ね。」


「そうだ、私は主の為なら何でもするぞ?」


「イラつくわ・・・始めましょうか。」


「ふふ、ああ。」


二人の魔力の高まりを感じる。とんでもねえ圧力。これは、まるで・・・総長みてえだな。


「後ろに下がるぞ。あっちは俺が加勢しないとヤバそうだ。」

獣人が何か言っている。く、意識が。


生きて帰れたら・・・また、あのダンジョンへ・・・いって・・・・・・こんど・・・こそ・・・

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