89話 【魔王へと】新たなダンジョン【至る道】
ーーー 放課後 ーーー
連合幹部をシメにオードリーを連れ空き教室へと向かう。
あっ、そう言えば。
「ノエル、キースは?(念話)」
「・・・アルルの部屋だよ・・・。」
「変な事してないよね?」
「・・・吐きまくってたから・・・温泉で綺麗にして・・・寝かせてる。」
やるじゃん。
「最近よく働いてくれてるからご褒美あげないとね。何か希望は?」
「!!?だっ、だったら、あ、アルの今履いてるパ、パ、パッ!」
ノエル落ち着いて。
「パ?」
「・・・・・・ん・・・考えとく・・・。」
「わかった。」
「ねえ、アルル、2人で大丈夫かな?わ、私怖いよ。」
不安そうな表情を浮かべるオードリー。
癒しの魔力を送っているがそれでも足りないか。
抱き寄せて髪を撫でる。
「大丈夫、アタシがいるからね。」
「すごい自信、でもあなたにこうして包まれていると、安心する。こうやって女を落としているのね。いえ、男もか。ふふ。」
少しは元気になったかな?
でも何でヨハンくんが?修行の旅に出たって聞いたけど・・・まさかの黒幕?
なんてね。
knock knock
「誰だ。」
中から連合の男が出てくる。
「アルルだよ。ストラスに話が会って来たんだ。」
アタシを見た後、
「いねえよ、出直してきな。」
「はあ?いるじゃんそこに。お前新参か?アルルが来たって伝えればいいんだよ三下ぁ。舐めてっとぶちコロがして海に沈めるぞ?」
「アルル、ちょっと!落ちついて!」
大丈夫、演技だから。Winkする。
「てめえ!誰に向かって!ガハッ!」
お、側頭部に蹴りを食らって吹っ飛んだぞ。
「お前だろ、誰に向かって口きいてんだ。・・・亜流々総長。お初にお目に掛かります。現、亜流々連合の参謀を務めているストラスと申します。以後お見知り置きを。」
両手を膝に付け仁義を切る。
「ヨハンくん、久しぶりだね?何か雰囲気変わったね。」
ストラスをスルーして後ろにいるヨハンに挨拶。ストラスのやつ怒気が漏れてるぞ。ウケる
「総長、お久しぶりです。総長が学院に来ていると聞いて駆けつけました。総長の方は相変わらずですね。」
違和感。何だろう短期間でめちゃくちゃレベルアップしてるね。
「変わらず、か。この場合は喜ぶべき、なのかな・・・ヨハンくんに相談があるんだけどいいかな?」
「構いませんよ。そちらの方は?」
「わ、私オードリーって言います!アルル様の配下のものでしゅ!あっ。」
噛んだ。
てかアタシの配下ってなんだ?
「オードリー、落ちついて。この子は同級生で友達だよ。そこのデカい奴に付きまとわれて困ってるんだって。」
「おい、お前本当か?」
「い、いえ。つ、付き合っている二人が一緒にいるのは当然かと。」
「無理矢理じゃん!あんた最低だよ!」
オードリーが叫ぶ。
ザシュ
ヨハンくんに袈裟斬りにされ崩れ落ちる男。
「きゃああああ!」
オードリーがまた叫ぶ。
「これで許してくれとは言わない。賠償金を用意させよう。」
怒りも殺気も無いまま自然に躊躇なく切ったぞ。
「そ、そこまでは、私は別れられればそれで・・・。ねえ、アルル!彼を助けて!このままじゃ死んじゃうよ!」
「安心して、もう治したから。」
「ふぇ!?」
服が血まみれだから気付きにくいが倒れた時には既に完治している。気絶しているだけだ。
「ふ、流石ですね。やはり王はあなた以外には考えられない。」
王?
「ヨハン様!この者は連合を潰しに、グッ!」
ストラスが苦しそうにしている。殺気か。流れ変わったな。
「黙れ、俺がいない間好き勝手していたようだな・・・。アルル様、私が尽くしたいと思うのはあなただけだ。二人で世界を統べましょう。」
やだよ。どうしちゃったの?あの頃のヨハンきゅんはどこへ?
「意味分かんない。魔王にでもなるつもり?」
「魔王・・・それもいいかもしれません。」
「アタシが学院を出てから何があったの?」
「・・・場所を変えましょう。二人で話したい。」
そうだね。
「オードリー、もう大丈夫だから。あとはアタシに任せて。」
「う、うん。アルル・・・気をつけてね。」
転移。
ここは?神殿?
ダンジョンの入口?
「私が修行をしていた場所ですよ。」
石碑に文字が浮かびあがる。
【Path to Satan】
魔王への道?胡散臭いね。あったっけ?こんなとこ。
「ダンジョン攻略してみますか?私にはキツ過ぎてまだクリア出来ていません。」
ふうん。話するんじゃなかったっけ?
でも面白そうじゃん。
「じゃあ、ちょっとやってみようかな。」
石碑に手を乗せる。
転移。
暗闇だ。耐性持ちのアタシには関係ないはずなのに。見えないんですけど?
ディメンション。・・・も使えないか。
そもそも魔力が使えない。
へえ、こんなとこもあるんだねえ。
先へ進む。
前から鎧を来た騎士?の気配が。
何体いるんだろ。数百、数千?を超えているか?鎧からは魔力を感じる。あっちは魔力使えるってズルくない?
騎士が迫る。速い。紙一重で躱す。わっ、こいつら連携するのか?避けたとこを狙われた。
しかも上空にも気配。
ズアッ!
ドラゴンのブレスだ。
一瞬辺りが真っ白に輝く。うわあ、すごい数の騎士と竜だ。
しかし、この空間途方もない広さだな。もう空間じゃなくて世界だね。
ブレスを避けて辺りを観察・・・してる暇ないよ!
あっぶな!
下は騎士で埋め尽くされてるし飛べば数十のブレス。それに、こいつら連携してるから同士討ちは期待出来ないだろう。
んー、剣が欲しいね。バッグを漁るも中は空っぽ。魔力が使えないと、ただの鞄か。
騎士に接敵、腰にぶら下がってる剣を抜く。
シューティングスター。
神速の突きぶっぱなす。
周辺の騎士たちは光となり消える。一瞬光っ壁が確認出来なかった。剣も消えた。なるほど剣の持ち主だけは殺るのは後回しにしないとだね。
ズガアアアン
爪?の攻撃を避ける。そのまま腕を伝って顔へ。手刀で目を潰す。痛がる様子無し。しかも直ぐに再生。
やっぱ核かぁ。
精神を集中させる。そこか。
おっと魔力の集束。ブレスが来る!
カッ!!
一瞬世界は光に包まれる。やっぱ広いなここ。ブレスが脇をかすめる。数秒後に彼方で轟音と光。一応果てはあるのか。
斬撃を躱し首の裏へ周りうなじに貫手。コアを破壊。ドラゴンは光となり消える。
よし、騎士から剣を奪ってシューティングスター連発のゴリ推しで行けそうだ。竜だけはコア潰す必要があるから若干めんどいな。
あとこの数だよ。下手したら万超えるんじゃないか?やれやれ。
どれくらい経ったのか。数日掛けて殲滅が完了する。
睡魔や空腹が来ないのはどういうカラクリ何だろう?
石碑出ないな。まだいるのか?
!!?
ザシュ ザシュ
はあ!?今度は何だ!肩と顔を切られた。凄いな気配ゼロだ。存在を感じない。
ザシュ ザシュ
剣が肌に触れてから対応せざるを得ない。しかもこの剣筋はディスペア流極伝。
マジかー。
嫌でも分かる。相手はアタシだ。
フルスペックの自分相手に魔力無しで戦えと?
どんどん切り刻まれる。回復もしない。詰みか?相手が自分じゃ剣を奪うことも不可能。
この暗闇の中、死ぬのか・・・
まったく、本当にままならないものだね。人生ってやつは。
あはははははははっ!
さて、嘆いていてもつまらないじゃないか。
最高のステージだ。最後まで無様に足掻かせてもらうとしよう。ふふふ。
side ヨハン
総長が躊躇なく入って行く。隊員からこのダンジョンの存在を聞いた時は震えたものだ。総長に近づけると。しかしこのダンジョンは異常だ。魔力、能力、全てが打ち消される。
生身の体一つで攻略しなければならない。
俺は最初に出てくるネズミ1匹、倒す事すら出来ていない。唯一幸運?だったのは死なない事だ。倒されるとこの場に無傷の状態で戻される。数千回を超える死闘。確実に強くなっている。あのネズミを倒したら俺は総長に
並べるはずだ。
では総長は?あの方がどれだけの高みにいるのか知りたくて、ここへ連れて来てしまった。中での時間は停止していて向こうの1年はこっちでは1分だと言っていたな。
おい!!待て!何分経った!?なぜ出てこない!?
体が震える。
俺は何か取り返しのつかない事をしてしまったのではないか?
そもそも、なぜ俺は学院に戻った?ここを攻略するまでは戻らないと決めていたのに。
あの念話だ。
アルル様が戻ったという隊員の念話を聞いて・・・。嫌な予感がする。
アルル様!
2時間後
ぽわん
扉が現れた!?
ギィィ・・・
剣を構える。
中から出てきたのは・・・頭からつま先まで黒い人影。アルル様か!?
【Congratulations! 】
石碑に文字が浮かび上がる。
「ああ、開始時の記憶を接続するとは、こう言う事か。ふふ、そうかヨハンと来たんだったな。」
何を言っている?
「待たせてしまってすまない。楽しいとつい時間が経つのを忘れてしまうな。」
「あなたは・・・あの地獄を・・・100年を超えて戦い抜き・・・それを楽しかったと!?」
「ああ、実に有意義な時間だったよ。自分の限界を超えるというのは、たまらないものがあるな。それは君も感じているだろう?」
「それは・・・しかし、私とあなたでは全てが違い過ぎる。」
「そんな事はないぞ。同じだよ少年。求めるものが同じならいつか道は交わるだろう。私は君より色々な経験をしただけだよ。」
「私でも、修行を続ければ、あなたの様になれると?」
「お前さんの心一つさ。」
「!!」
頬を涙が伝う。
「笑え少年、強くなりたいのならな。ふふふ、はーっはははは!」
「・・・ふふふ。」
すげえな、やっぱ総長ってすげえわ!
総長と俺の笑い声が響く。
何だろう、総長といると何でも出来そうな気がしてくる。こうしちゃいられねえ。
亜流々連合の復活だっ!




